「わたしのわんこ(中編・その1)」
(ファシット・ファクトリー・シリーズ)
作:JuJu
「これが、そのゼリー・ジュース?」
あたしは青い液体の入ったビンを持って、天井から吊るしてあるランプの明りに透かした。
透明なビンの中で、ゼリー・ジュースが揺れている。目を凝らして見る。ビンにあたしの顔が映ているだけで、どう見てもただのゼリー・ジュースだ。
ピアノの腕前を見れば、マスターの手先が器用なのはわかるけど、そんなゼリー・ジュースが現実にあるとは思えない。
「それが失敗しちゃって……」
「(でしょうねぇ)」
あたしは心の中でうなづいた。
「犬にしか効果がないんです」
「え?」
「犬が飲めば人間に憑依が出来るんです。
憑依された人は体を犬に操られます。ただし意識は残ってますから、憑依された人は自分の体が、
意思に反して勝手に動いている様な感覚を受けるはずです。
効果は五時間程度。五時間たつと、おしっこと一緒にゼリーの効果は排出されて、元に戻ります。
だから、犬にゼリー・ジュースを飲ませて、あなたの好きな人に憑依させれば、その人を犬の様に扱えますよ」
「へぇー?」
あたしは驚いては見せた。やっぱり信じられない。
ちょっといじわるな質問をしてみる。
「でも、それって憑依が解けた後が大変よね。
だって、憑依された事を憶えているんでしょ?
体が勝手に動いたって言っても、人の前で犬の振りをしていたなんて、恥ずかしくてしかたないじゃない」
「アタシもそう思ってマスターに言ったんです。
そしたら憑依されてからの嫌な記憶は、ゼリーの排出といっしょに忘れる様に作ってあるんですって。
だから、犬に憑依している間は、好きな人にどんな事をしても安心ですよ」
「どんな事をしても……」
その一言に心が揺れ動いた。
家で帰りを待っている、犬のタローの姿が頭に浮かんだ。
誰にも秘密だが、愛華は犬のタローと毎晩エッチをしていた。
これをタローに飲ませて桜乃に憑依させれば、毎晩タローがやってくれるエッチを、桜乃がやってくれる。
そう思うだけで、あたしの鼓動は早くなる。
憑依が出来るゼリー・ジュースなんてあるわけがない。
わかっている。
わかっているけど……、ウソでもいいから信じて見たい。そんな欲望を押さえる事ができなかった。
「だまされたと思って持っていってください。マスターからの気持ちですから。
ニセモノだとしても損するわけじゃないですし。
それに、このゼリー・ジュースはおいしいですから、あなたの飼っているワンちゃんも喜びますよ」
「えっ? どうしてタローの事を?」
「ちゃんと、タロットカードに出ていますよ」
女の子は笑った。
* * *
あたしは喫茶店から、マンションに帰ってきた。
ドアを開けると、雄犬のタローが駆け寄って来た。足元でじゃれ付く。
「タロー、ただいま」
本当はこのマンションはペットは飼ってはいけないのだが、隠して飼っている。
表向きは一人で住んでいるのが寂しいのと、防犯のためというのを理由にしていた。
でも真実は、エッチをしてもらうために、タローと別れられなかった。その為に、入学が決まっても学生寮には入らず、マンションを借りて住んでいる。
自分の部屋にはいると、ベットにこしかけた。タローもついて来て足元で寝そべった。
喫茶店の帰りにペットショップによって買って来た首輪とリード(綱)を紙袋から取り出す。
桜乃に似合う色やデザイン捜して迷うのは、けっこう楽しかった。
ゼリー・ジュースがあれば、さっきのタローみたく桜乃があたしにじゃれ付くのだ。
たとえゼリー・ジュースがニセモノでも、犬そのものになって甘える桜乃を想像しているだけで楽しかった。
「でも……」
家に帰って落ち着いたせいか、首輪を見つめているうちに、冷静な心がもどってきた。
犬にされた後、記憶まで消されるって、あまんりかも知れない。
桜乃の記憶が消えるからと言って、あたしが桜乃に首輪までつけて犬として扱った事実は消えない。
憶えていないからって、桜乃にそんなことをしてもいいの?
あたしの桜乃への想いってそんなちっちゃな物だったの?
「ワン」
タローは立ちあがり、あたしの足元で鳴いた。
「どうしたの? タロー?」
「くぅ〜ん」
タローは舌を出してなめる真似をする。
あたしとエッチをしたい時にする仕草だ。
悩んでいるあたしをなぐさめようとしているのだろうか?
「タロー。なぐさめてくれるの?」
あたしはタローとエッチな事をし始めた時の事を思い出していた。
それは中学生の時だった。
あたしはお風呂に入ったついでに、タローの体も洗う事にしていた。その日もタローの体を洗っていた。
じゃれついたタローの舌が、偶然あたしのアソコに当たった。
オナニーをした事がなかったあたしには、この快感は信じられなしほど激しいものだった。
もちろん、オナニーの事くらいは知っていたし、クラスメイトのなかでもオナニーをしている子がいる事も聞いていた。
だけど、オナニーって男の子のものだと思っていた。多少は興味もあったが、試してみる気はしなかった。
なんとなく怖かったし、それに、エッチな事に対して嫌悪感もあった。
その考えはあの日、タローの舌がアソコに当たったときから変った。
まさか、こんなに気持ち良いとは、考えもしなかった。
次の日。快感が忘れられないあたしは、学校から帰宅するとすぐに服を脱いでタローにアソコをさしだしたが、タローは舐めようとはしなかった。
そこでどうしてもあの快感が忘れられなかったあたしは、タローがアソコを舐めるように、アソコにハチミツをつけてみた。
するとタローは喜んで、ハチツミのついたあたしのアソコをなめ始めた。
一日中待ちこがれていた快感に、あたしは酔いしれた。
タローはあたしのアソコを舐めると、あたしが喜ぶ事に気がついたらしく、その次の日からはアソコになにも付けなくてもやってくれるようになった。
あの日から、あたしは一日もタローと離れられなくなってしまったのだ。
「くぅ〜ん」
足元で、タローが待ちわびていた。
「それじゃ、お願いねタロー」
あたしは制服を脱いだ。
裸でベットの上に座ると、足を大きく広げる。
タローはベットの周りを、もどかしそうに歩き回っている。
「いいわよ、タロー」
タローはベッドの上に飛び乗ると、あたしの股間を目指して走った。
あせる様にタローがあたしの股間に顔をうずめた。
鼻であたしのアソコを嗅いだ後、舌を出す。
タローの舌が舌から上に向かって、あたしのアソコを舐める。
「はあっ!」
アソコから背中に、甘い電気が流れる。
タローは必死に舐めてくれた。その度に快感があたしを襲う。
生暖かい、柔らかい舌が、あたしのアソコを刺激する。
やがて、タローのよだれであたしのアソコがベタベタになる。
「はあ! タロー! いいわ! もっとお願い!」
あたしの「お願い」を聞いて、タローの舌の動きが速くなる。
はあ、ダメ。気持ちよすぎて、なにも考えられなくなる。
タローの舌が、わずかだが、あたしのアソコの中まで入って来るようなになった。あたしの膣の中をなぞる様に、なめる。
「いい! 行く! 行っちゃうよタローっ!! タローーっ!!」
あたしはタローを抱き上げて、抱きしめていた。
柔らかくて暖かいタローの体をほお擦りする。
ふかふかの毛皮が気持ち良い。
タロー大好き!
そう思う頭の片隅で、桜乃の事を考えていた。
タローのしてくれるエッチ。あのゼリー・ジュースを使えば、このエッチを桜乃がしてくれる。
桜乃が今のタローの様に、四つんばいで、あたしのアソコを懸命になめてくれる。
考えただけで、胸が熱い。
あたしは、桜乃を犬にしてしまいたい思いを、抑えきれなくなっていた。
(つづく)