あたしはどうしたらいいの。誰か、誰か助けて…
 
 
 

続・天使と悪魔の間に(前編)

原作:toshi9
作:Tira
 
 
 

あたしの目の前で可愛い妹、香菜がスリガラスのドアを開けて湯気の立ち昇る風呂場へと入っていく。
香菜らしくない蟹股歩き。

「おねえちゃんも早く入っておいでよ」

「き、気安くおねえちゃんなんて呼ばないで」

「どうしてそんな事言うの?香菜がおねえちゃんて言ったらダメなの?」

「あんたは香菜じゃない。いつまでも香菜の真似しないでっ」

「ううん、香菜だよ。それより早く服を脱いだら?」

「うるさいわね、あんたの指図なんて受けないわよっ」

飽くまでも香菜の真似をする男。
見た目は香菜なのに中身は男なんだ…
本当に誰も気づいてくれないの?

あたしは棚の上に、あたしと香菜のパジャマや下着を置いた。
しばらくためらった後、服を脱ぎ始める。
彼氏にも見せた事の無い裸を、見ず知らずの男に見せなければならないのだ。

「どうしてこんな事に…」

そう思いながら下着を洗濯籠に入れ、白いタオルを縦長にして胸元に宛てがったあたしは身体を隠すようにして
風呂場へと入っていった。

「遅かったねおねえちゃん、姉妹なんだからタオルなんかで隠さないでよ」

湯船に浸かっている香菜がニタニタしながらあたしの身体を眺めている。
その目が本当にいやらしい目つきになっていた。

「ジ、ジロジロ見ないでよ。どうしてあんたなんかにあたしの身体を見せなきゃならないのよっ」

「だって姉妹でしょ」

「あんたは香菜じゃないっ。根っから腐ったクソ野郎よっ」

「ううっ、酷いよおねえちゃん。そんな怖い顔して酷い事言わないで。香菜、悲しくなっちゃうよ…」

「くっ…」

あたしは寂しそうな、脅えている様にも見える香菜の表情を見て心苦しい感じがした。
香菜ではないと分かっていても、目の前でそんな表情されると…

左手でタオルを押え、空いている手で洗面器を持って掛け湯をする。
熱い湯がタオルを濡らすと、あたしの身体の線が見えてしまう。

「へへ、早く入って。おねえちゃんっ!」

「……」

寂しそうな表情が一転し、またいやらしい顔つきになる。
身体を隠すようにしながら片足ずつ足を入れ、香菜が座っている前に身体を沈めたあたし。
湯船の中で香菜と向かい合うように座ったけど、香菜の顔は見ないように横を向いていた。

「ねえおねえちゃん。どうして横を向いてるの?」

「うるさいわね。そんな事あんたに関係ないでしょ」

「あんたあんたって、自分の妹なんだからちゃんと香菜って呼んでよ」

「しつこいわね。あんたは香菜の皮を被った悪魔よっ」

「…あは、おねえちゃん。そんなに言うならほんとに悪魔になってあげようか?」

「な、何よそれ」

「ちゃんと妹として接してくれないのなら…ほらっ」

「あっ!や、やめてっ」

香菜の小さな右足が、湯船の中で体操座りしているあたしの両足をこじあけると、
その足の親指をあたしの股間にグイッと押し込んできた。
驚いたあたしが両手で足首を掴んで引き離そうと力を入れると、
今度は香菜の両手があたしの両胸を揉み始めたのだ。

「やだっ!」

「ほらほら、香菜が気持ちよくしてあげるから」

「やだっ!は、放してっ!」

「柔らかいなぁ、おねえちゃんの胸は。彼氏に大きくしてもらったのかい?それとも自分で揉んで
大きくしたのかな?」

「や、やだっ…くうっ…」

あたしは右手で股間をグイグイを押している香菜の右足首を掴み、左手で胸を必死に隠そうとした。
でも、香菜は悪戯っぽい目をしながらあたしの身体を弄んでいる。
白いタオルはもう男の目から身体を守る役目を果たしていない。

「あっ…はあっ…うっ……い、いやあっ!」

あたしはたまらず立ち上がり、湯船から飛び出した。

「あん、おねえちゃんったら恥ずかしがり屋さんなんだから」

「い、いいかげんにしてよ。もう…だ、誰か気づいて…」

「何言ってるの?誰も香菜の中に男が入っているなんて思わないよ。へへへ」

「もうやだぁ…」

あたしは白いタオルで前を隠しながら、少し冷たいタイルの上にしゃがみ込んだ。
自然と涙が溢れてくる。
それを見た香菜が湯船から上がると、別のタオルを手に取ってボディーシャンプーをつけ、
私の後ろに回りこんできた。

「ねえおねえちゃん。これからはずっと一緒なんだからそんなに毛嫌いしないで。
 お姉ちゃんの事、すごく大好きだよ。だから…」

香菜はしゃがみ込んでいる私の背中に泡立てたタオルをそっと当てると、優しく擦り始めた。

「ううっ…うっ…うっ…」

しゃがんで泣いているあたしに、香菜がプラスチックの椅子を持って来て
お尻の下に敷いてくれる。
無意識の内にその椅子に座ったあたし。香菜も同じようにプラスチックの椅子を持って来てあたしの後ろに
座り込んだ。

「綺麗に洗ってあげるよ、おねえちゃん」

そう言った香菜が、肩や腰にタオルを当てて擦る。
何も言わずに、背中に当るタオルと香菜の手を感じているあたし。

(い、何時までこんな事しているの? 香菜を…香菜を返して…)

心の中でそう呟いた。 

(香菜はここにいるのに…でも本当の香菜は…)

そう思い詰めていたあたしは、いつの間にか身体の前に回ってきていた香菜の手の動きに気づかなかった。
あたしが押えているタオルを押しのけるようにして、あたしの胸を洗い始めている。
脇の下から回り込んだ手はわざと胸の突起を避けるようにして、それでも微妙に
当るような感じで動いていた。

「あっ」

「しっかりと洗ってあげるね」

「や、やだっ。やめてっ」

「いいから。手をのけてくれないと綺麗に洗えないよ」

「いいからっ…あっ、いやっ」

「ほら、これで綺麗に洗える」

「やだっ…やっ…んっ…」

香菜は泡立てたタオルを右手に持って、あたしの胸を円を描くようにしながら洗っている。
そして、後ろから抱きかかえるようにした左手を、あたしのお腹に添えていた。
あたしの背中に香菜の小さな胸が密着している。

「いやいやっ!」

「おねえちゃんっ。そんなに動いたら綺麗に洗えないじゃない」

「放してよっ。自分で洗えるんだからっ」

「いいの。香菜が洗ってあげるよ」

「も、もうっ…やめて…だ、だから…はぁ…や…やだ…んっ」

お腹に添えていた香菜の小さな左手が、あたしの左胸を優しく揉み始める。
ボディーシャンプーのせいでヌルヌルとして、それが変な気分を引き起こしている。
意識しなくても自然と胸の突起が膨らみ、香菜の手を受け入れているよう…

そんな自分の身体がすごく情けないけど…
でも…

「お願いだから…香菜の身体で変な事しないで…」

「そんなこと言っても身体はすごく感じてるんじゃないの?ここ、すごく固くなってるよ」

香菜が胸の突起をクリクリと刺激する。

「うっ…そ、そんな事…ない…」

「それじゃあここは?」

「あっ!ダメッ!そこはっ!…あはっ…や、やだっ…さ、触らないで…」

「ネバネバしてるよ。これ、ボディーシャンプーのせいじゃないよね」

「んふっ…だめ…お、お願いだから…」

「全部綺麗に洗ってあげるよ」

「あっ…い、いやっ…はあっ…んっ…んんっ…くぅっ…」

香菜の左手はあたしの大事な所に潜り込んでいた。
理性が頑張っても、身体は素直に従っている。
香菜の手首を掴んで動きを止めようとしても、どこかでブレーキがかかっている事を
あたし自身がよく分かっていた。
必死に両足を閉じて、香菜の手の侵入を防いでいる。
でも、ヌルヌルと滑り込んでいる手を防ぎきれない事も分かっている。
椅子から立ち上がって逃げればいいものを…

あたしは妹の香菜に悪戯されているという事に、妙な興奮を覚えてしまっているのかもしれない。
男なのに…見ず知らずの男なのに…

「ねえ、気持ちいい?」

「はぁ…はぁ…あっ…ううっ…」

「気持ちいい?おねえちゃん」

「んふっ…や、やめて…手をのけて…」

「い〜やっ」

「きゃっ!」

香菜は後ろから、泡のついた首筋や背中を舌で舐め始めた。
ゾワッとした悪寒のようなものが身体中を駆け巡る。

「ふあっ…やだっ…そ、そんな事…」

あたしの言葉なんてお構いなしの香菜。

「好きだよ。おねえちゃん」

「か、香菜…」

香菜の手の動きが速くなる。
胸の突起と股間を同時に責められるあたし。
だんだん身体の芯が熱くなり、鼓動が速くなる。

「んっ…あっ…だ、だめっ…そんなに…あっ…動かしちゃ…ああっ」

「いいよおねえちゃん。最後までイっても」

「やだっ…こんな事っ…い、妹に…あっ…あっ…んあっ…んんっ…」

「おねえちゃん、おねえちゃん。ほら、もうすぐイッちゃいそうだよっ」

「あはっ…あ、ああっ…だめっ…だめだって…あああっ…はうっ…んんああっ」

「香菜がおねえちゃんをイかそうとしてるんだよ。香菜の手がおねえちゃんを気持ちよくさせてるんだよっ」

「やだあっ…そんなこと言わないでぇっ…ああっ、だ、だめぇっ!はああああんっ!!」
 

あたしはぎゅっと身体に力を入れて、香菜の手を身体中で感じた…
  


 
 

「遅かったわね。何してたの?」

お母さんが怪訝そうにあたしたちに話し掛ける。

「色々とお話してたんだ」

そう答えた香菜の横で、あたしは1人顔を真っ赤にしていた。

「あまり長い間入っているとのぼせるわよ」

「うん。今度から気をつけるよ。ね、おねえちゃんっ!」

「あ…う、うん…」

お母さんの前では絶対に本性を見せない男。
それはお父さんが帰って来てからも同じだった。
夕食を食べて家族の団らんを過ごし、夜も遅くなって眠りにつくまでは…
 



続・天使と悪魔の間に(前編)…おわり



あとがき
toshi9さん、サイト開設おめでとうございます!
随分と時間が経ってしまいましたが、「天使と悪魔の間に」の続編を書かせていただきました。
初めて「天使と悪魔の間に」を読んだとき、なんて美味しいところで終わっているんだぁ〜っ!
なんて思ってしまいました(^^;
個人的には姉妹の絡みと言うのが結構好きだったんで、ぜひtoshi9さんに続編を書いていただきたかった
ところなのですが、メールでの成り行き上、「それじゃあ…」なんて気持ちで書いてしまいました(笑
姉妹でお風呂…
美味しいシチュエーションです(笑
香菜の皮を被った男だと分かっていても香菜の振りをして、香菜として触られるとやっぱりおかしな
雰囲気に陥ってしまったようです。
優菜がしっかりしなければならないのに…
さて、もう1本続きがあります。
今度はどうなるでしょう?
お母さん、気づいてくれるかな(^^;

それでは最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
Tiraでした。






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