突然だが、俺、まさるにはある能力がある。 まあ、生まれつきってわけじゃないんだが……実は一週間前、俺は雷に打たれ生死をさまよった。 そして、目を覚ました時にはその能力を持っていたんだ。 その能力ってのが……おっとここで具体的に言ったら面白くないかな。……まあ、簡単に言うと手から種が出せるんだ。 厳密には種じゃないんだけどな。俺が勝手に出したものをこう呼んでるだけなんだけど……この種は俺以外には見えないんだがな。 しかも、種だからもちろん植える事が出来る。それがこの能力のポイントなんだけどね……。 キーンコーンカーンコーン おっと。ひとり事言ってるうちに今日の授業が終わったぜ。さっ、計画を実行にうつすか。 ヤドリギの種 〜プロローグ〜 作:なお 授業が終わり、帰るしたくをするとさっそく俺はお目当ての人に接触を試みた。 そいつの名前は山口香織、俺と同じクラスつまり高校三年生のいちお女子高生だ。 性格はまじめ、外見は三つ編みのツインテールに眼鏡、もちろんスカートも校則通り膝下のなんの色気もない女だ。 なんでそんな女をターゲットに選んだかと言うと、一度だけ眼鏡を外した顔を見た時、 この女はダイヤの原石だと感じたからだ。 とまあ、こんな事言ってたら帰っちまうか。さっさと済ませよう。 「山口さーん!ちょっと待ってよ」 香織「なっ、なに?」 山口さんはちょっと驚いた様子で俺の方を振り向いた。 「あっ、いや。これ、いつもノート貸してくれるお礼にね」 そう言って俺は、綺麗に包んだチョコを手渡した。 香織「なっ!……いいよ。別に……」 山口さんは顔を赤らめている。どうやら、まんざらでもないみたいだ。 「まあまあ、いいじゃん。たまにはさ!いつも感謝してるんだよ」 香織「……う〜ん。わかった。貰っとく……ありがと」 「そうそう。素直にもらいなよ。あっ、あと早めに食べてね。溶けやすいから……」 香織「うん。わかった。じゃ、私塾だから。ありがとね」 嬉しいそうにチョコを貰うと山口さんは手をふっていってしまった。 「成功だ。後は待つだけだ。明日が楽しみだな。ふふふ」 もちろんあのチョコには種を仕込んでいた。でなきゃあんな高いチョコやるわけない。 明日を楽しみに待ちながら俺は家に帰る事にした。 (つづく) |