Skin Coupling(後編)

 作:Howling




「まずこの皮はね、知り合いからモニターを頼まれてもらったものなのよ。」

「モニター?」

「私の友達がね、DNA研究関係の仕事してて。その一環でこの皮ができたんですって。 そのモニターを依頼されたの。 私も最初は驚いたわ。どこからどう見ても私そっくりなんですもの。 親でも分からないと思うわ。実際あなたが着ても私の体型そのままに変わってるもの。」



裕也は自分の、いや恭子の体になっている首から下を改めて見た。確かに、男である自分と恭子の体格差は明らかなはずなのに、すっかり恭子の体型そのままになっていたのだ。 いつもとは違う視点で胸を見るのはとても変な感覚だ。


「いや・・・・・でも本当驚いたよ。これ、着てるって感覚なかったし、それに・・・・・」

「身も心も私になったみたい?」

「うん・・・・・って、え?」


裕也はこの皮を着ているとき、自分の意識があるはずなのに、言葉遣いや仕草が女のそれに変わりきったのを思い出した。
これにも原因があるのだろうか?恭子は楽しそうに語った。


「後になって分かったんだけど、この皮はね。記憶も自由に読めるのよ。癖や仕草、言葉遣い、好みとかもね。 だから皮を被ってもその人になりきれるのよ。実際あなたこの私の皮を着て、違和感なく行動してたでしょ。
中身があなたって分かってても、まるで自分を犯してるみたいでゾクゾクしたわぁ。 だって感じ方とか本当に私そのまんまだったもの。うふふ・・・・」


「はぁ・・・・」


ほくそ笑む恭子を見て裕也は内心あきれていた。恭子はときどきエロに興味深々になることがあるのを忘れていた。
しかし、どうして恭子はわざわざこんなことをしたんだろうか?人が寝てる間にお互いの姿を変えて。
裕也は恭子の浮世離れした話を聞いている内に、その疑問が強くわいてきた。


「でも、どうしてこんなことを?それにいつの間に俺の皮まで・・・・・?」

「気になる?」

「当たり前だよ。正直、最初混乱したし。」


途中まで愉しそうに話していた恭子の表情が少し曇る。明らかに理由があるんだろうな、と裕也は思った。


「・・・・セックスを考えて欲しかったの。」

「え?」


恭子が発した言葉の意味を裕也は理解できず聞き返した。


「結婚して3年じゃない?
30過ぎてもセックスしてくれるのは女性としてみてくれてるって思うと嬉しいんだけど・・・・・
・・・・・・独りよがりなのよ。
特に最近すぐに終わっちゃってたし。 女はおっぱいとあそこだけを愛撫すれば気持ち良くなるって思ってたでしょ。
違うのよ。女ってね、男と違って快感が一瞬じゃないし複雑なのよ。 それを知って欲しくて。 だって私達夫婦じゃない。お互いを理解したり愛をはぐくむのに気持ちいいことを共有できないなんてイヤだったの。 もっと互いを理解したいのよ。」



恭子が普段と違って真剣に話す姿を見て裕也はここ最近のこと、そしてついさっきのことを思い出す。
確かに恭子の言うとおり、最近セックスひとつとっても淡々としてた。引き替え今日、恭子に与えてもらった快感はそれとはほど遠いねっとりと時間をかけてのものだった。
恭子は物足りなかったのだ。そして恭子なりに夫婦として真剣に思っての行動だったのだ。裕也は素直に嬉しいと思う反面、恭子の気持ちを理解してやれなかったことを悔いた。


「・・・・・・ごめん。」

「?」

「恭子の言うとおりだったよ。最近、疲れてるとかなんとか言って一緒の時間とかなかなか作ってやれなかったな。」

「あなた・・・・」

「それに、ここまでしてくれるなんて。この皮着て、恭子が普段どう感じてるのか教えてもらえたし。 ほんと、気持ち良かった。恭子の体。確かに、お互いが熱くなんないとだめだよな。」


裕也は、改めて恭子の方を向いて話す。


「だから・・・・・ありがと。」


裕也は、恭子をぎゅっと抱きしめ、無意識のうちに、恭子の頭を今自分の物になっている豊満な胸に押しつける。


「むふぅ・・・・・・」


恭子は、裕也に抱かれているのに、何故か胸があるという奇妙な状態に内心苦笑いしつつうっとりとしていた。


「それで・・・・・なんだけど・・・・?」

「なに?」

「恭子のきもちいいところ、もっと教えて欲しい。今度は俺がしてあげたい。」

「いいの?」

「今日はもう週末だし。せっかくだから、もっとしよ。」

「うん・・・・・ありがと。」

「それで・・・・・悪いけど、恭子は一度皮を脱いで。 恭子を気持ち良くしたいのに、俺の体なのはどうかな・・・・って。」

「いいわ。そうする。」


恭子は裕也の提案に従い、皮の首から下を脱いだ。もとの恭子の全裸に戻る。
そして裕也は、なぜか一度脱いだ恭子の首から上の皮を着直した。


「あなた・・・・?」

「これでもう一度エッチしてみようよ。恭子同士でさ。」

「え〜・・・ちょっと恥ずかしいわ。」

「俺も恭子になって一緒に感じたいんだよ。恭子がどう感じてるかをさ。」


そう言われて恭子も反応に困った。それは裕也の提案に対してではない。恭子自身、初めてこの皮を見たときのことを思い出していた。
あのとき、恭子の知り合いは百聞は一見にしかずとばかりに恭子の姿で現れたのだ。恭子自身が普段着ない白衣姿。
違和感でしかないその姿に、内心舌を巻いていた。
もし、自分自身に犯されたらどうなるんだろうと。


「・・・・・いいわ。」

「よし。それじゃ・・・・・・・・・・・・・・恭子、私と一緒に気持ち良くなりましょうよ。」


裕也(in恭子)は恭子になりきってしゃべり、恭子に組み付いた。
脚を絡ませる。仕草や記憶を読み取ることができる皮の賜物だ。その身のこなしは完全に恭子のそれだった。


「「や、やばっ・・・・・・!!!」」


恭子は自分自身に誘いかけられるこの状況にどきどきしていた。


「震えてるの?大丈夫よ。怖がらないで。」


裕也(in恭子)は恭子を抱きしめながら耳元でささやく。
そのまま優しくベッドに押し倒した。
互いに見つめ合い、どちらからというわけでもなく、唇を合わせた。


んむっ、むふっ、んっ、んっ、んっ・・・・・・・
んんっ、んむっ、んっ、んんん・・・・・・・・・


互いの舌が互いの舌を貪欲に求める。唇の裏側を。歯の裏側を。
そして、互いの舌を入念に吸い合い、絡め合った。

その間も、裕也(in恭子)は恭子への愛撫をやめない。ぎゅうっと抱きしめながら、手で髪をさすったり背中を指先でつつーっとなぞったり。
恭子は、互いが密着しながら愛撫されているのを気持ち良く感じていた。


彼女にわだかまっていた物足りなさが徐々に解消されていく。
そして、一度口を離した。


「はぁ・・・はぁ・・・・貴女の舌でキスするのって気持ちいいわね。」


裕也(in恭子)は微笑みながらキスの感想をのべた。
時間をかけて口を密着させてのキスだったので、少し息が切れかかっていた。
それほど濃厚なキスだった。


「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・そ、そうね・・・本当に気持ち良かった・・・・・・」


恭子も感想を述べる。いつも以上に感じるキスだった。


「じゃあ、もっとしましょうよ。」


こくりと頷いた恭子は、今度は自分から裕也(in恭子)の頬を掴み、唇を合わせた。今度は恭子が貪っているという感じだった。
その間、今度は裕也(in恭子)の片手は恭子の胸に向かっていた。下側から絞り上げるように優しく愛撫する。それも普段の裕也のごつごつした手の感触ではない。女性の、恭子の細い指からくる繊細な愛撫だった。


「んむううっ!!!!!!」


恭子は気持ちよさのあまりうめき声を上げた。しかし唇をふさがれているので声にならない。


「「な、なにこれ!?今までと、全然違う・・・・・!き、きもちいい・・・・・!」」


恭子自身、内側が熱くなっていくのを感じた。
唇を離す裕也(in恭子)。
息の荒い恭子の様子を見てニヤリと微笑む。
今までの裕也ならすぐ胸に吸い付こうとしていたのだが、先の恭子とのプレイを思い出す。


(すぐに弱いところを弄ったらいけないんだったな。だったら・・・・・・)


今度は首筋から耳の後ろに向かって舌でなぞっていく。


「ああああんんんんっ!!!」


恭子が思わず叫ぶ。キスのせいで体中が熱くなっていたのか、全身の肌が敏感になっていた。
もっと、もっとしてほしい!素直にそう思っていた。
裕也(in恭子)は何度も何度も繰り返し首筋を舐め回す。時折滴る汗を舌ですくう。

そして、耳元でささやいた。


「ふふっ、あなたの汗、甘くておいしいわぁ。こっちも気持ち良くなっちゃうわ。」

「やだっ!そんな・・・・・・・!!」

「ふふふ・・・」


耳元でささやかれた言葉に恥ずかしく思うまもなく、今度は耳の中に舌を入れられた。


「はあああんんんっ!!!!」


耳から舌のぬめぬめとした感触と音が頭に直接響く。


「あっ、あっ、あっ、あああっ・・・・・!!!!」


恭子はがくがくと震えながら快感に喘ぐ。
耳の中を蹂躙する舌の感触。これは自分の舌なのだ。自分の舌が、脳内を蹂躙し、作り替えていく。
想像しただけで、恭子は体に出るほどにゾクゾクしていた。


「あら?乳首が勃ってきてるわよ。よほど気持ちいいのかしら?」


指摘されるまでもなく、恭子は感じきっていた。


「素敵ぃ・・・・・あなたのおっぱい・・・・ちゅるううう〜〜」


「あああんっ!!!!!」


ちゅっ、ちゅ、ちゅ、ちゅるる〜、レロレロ・・・・・・

口の中で舌を転がしたり、舌でつついたり、思いつく限りの方法で刺激する。
もちろん、その間も脇腹や背中への愛撫を忘れない。
この点が、今までと違っていた。裕也は先ほどのプレイで、恭子がどんな愛撫を求めているかを本能で理解しかけていた。部屋中に淫猥な音が響き続ける。


「す、吸い付かないでぇ!おかしくなっちゃう〜!!!」

「ぷはっ、いいのよぉ。おかしくなっても。今日はあなたにとことんおかしくなって欲しいんだから。」

「や、あんっ・・・・・」

「はぁ〜っ・・・・・お互い、勃ってきたわね・・・・・」


そう言うと裕也(in恭子)は、うっとりした表情で、自らの乳房を握った。
その先には、恭子と同じように勃起した乳首があった。
恭子の上体を起こし、座って対面している状態になる。


「えい!」


裕也(in恭子)が、互いの乳首同士を擦り合わせた。


「「ああああああんんんん!!!!」」


同じ喘ぎ声が響く。


「ど、どう?乳首を擦り合わせてるのよ?こんなの初めてでしょ!?」

「あ、や、や、あはあっ!!!!」

「私も気持ちいいわぁ。女の特権ね!」


気づけば恭子も同じように乳房を握って乳首を擦り合わせていた。さらに女同士のディープキスをする。
この時点で、恭子の体は限界を迎えていた。


んっ、んっ、んむむんっ!!!むん、むふっ、はふっ、あふううぅぅ〜・・・・・・
んっ、んっ、んっ!!んむん、むふっ、あふっ、あふぅ、ふむっ!!!んむむぅ!!!!!


突然イッてしまった。
力をなくし、裕也(in恭子)にしなだれかかる。


「はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・」


裕也(in恭子)に抱きつきながら、恭子は肩で呼吸をした。恭子の座っているあたりは、彼女の愛液で濡れきっていた。
それを見て裕也(in恭子)は耳元でささやいた。


「もうイッたの?よほど気持ち良かったのね。」

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・ え、ええ・・・・・・あなた、す、すご・・・い・・・・・
 今までと・・・・全然・・・・ちが・・・・って・・・・・」

「ふふっ、そう言ってもらって嬉しいわ。今までと違ってうまくできてたかしら?」
「え・・・・・ええ・・・・・とっても、気持ち、よかったぁ・・・・・」

「そう、それはよかったわ。」


裕也は恭子の顔で微笑んだ。


「でも・・・・・・」


裕也(in恭子)はニヤリと微笑んで恭子の背中を指でつつーっとなぞった。


「ひぃっ!!!!!」


恭子はびくんと飛び跳ねた。


「まだまだ敏感みたいね。もっとして欲しいんでしょ?ほらぁ、言いなさいよ。どこをして欲しいの?」


裕也(in恭子)は意地悪そうに尋ねる。


「そんなの・・・・・分かってるくせにぃ・・・・・」

「そんなことないわぁ。言葉にしないと伝わらないわよ。」

「お、おま○こよ。じらさないで。」


恭子はむくぅとふくれ面をした。


「うふふ、よく言えました。それじゃ・・・・・・」


裕也(in恭子)は恭子の脚をこじ開けた。その股間に顔を埋めようとする。すでに愛液が見て分かるほどに滴り落ちていた。
しかし、すぐに手出しはしない。まじまじと観察する。


「やっ、ちょっとなにまじまじと見てるのよ?」

「ん〜、私のおま○こってこうなってるのね〜って。」


裕也(in恭子)はおどけて言った。
恭子自身、もう一人の自分が自分の股間をまじまじと見ている今の状況になぜかゾクゾクしてしまっていた。
自分の指が太ももに添えられているのにも感じていた。股間の愛液がさらに垂れる。


「もう〜やめてよぉ。変な感じになるわ。」

「え〜、変な感じって?」

「私の顔で私のアソコを見られてると思うと恥ずかしいわ。」

「そ。それじゃ・・・・・」


裕也(in恭子)は股間に顔を近づけ、軽く息を吹きかけた。


「あああああああああんんんんんんんんんっ!!!!」


恭子は絶叫をあげた。脚を完全に押さえられているので動こうにも動けない。


「ふふっ、まだこれからよ。」


裕也は、ここまでの愛撫などで恭子が今までになく感じているのを悟った。いよいよ、中指を彼女の股間に入れた。


ぬぷっ


水の音が混じる。


「ひゃぁああ!!!」


恭子が喘ぎ声を上げる。それに構わず、裕也(in恭子)は中指を動かす。


「すご〜い。私のアソコってよく締まるのねぇ。中指をおいしそうに食べてるわ。」


前後に押し込んだり引いたり、時折外周をまわしてみたり。速度にも緩急をつける。もう片方の手で恭子の脚をやさしく触る。


「あああっ!!!や、やめっ、き、きもちいいいいいいいいい!!!!!」

「ふふふ。でも、あなたのアソコ、もっとほしがってるわ。」


裕也(in恭子)は今度は人差し指も入れた!


「いやぁああああああああ!!!」


さらに動かす。

くちゅ、くちゅくちゅっ!じゅる、じゅるっ!!!!

恭子の股間を弄くり回す。


「だ、だめえええええ!!!!すごすぎるぅ!!!!!」


恭子は、今までと違う緩急織り交ぜた股間への愛撫に我を忘れて酔いしれた。そのせいか、恭子の脳裏をさらなる欲求がもたげた。
このまま挿入されたら、どんなに気持ちがいいだろう、と。


「ま、待って!あなた!!」

「え?どうしたの?」


股間への愛撫を中断させた。恭子も我慢の限界だった。
入れて欲しい。この状態で入れて欲しいと。
そのために、あることが必要だった。


「も、もう限界なの・・・・・ここまで気持ち良くされるなんて、思わなかったから・・・・・
 ・・・・・だから、あなたのあれを入れてほしいの・・・・・・・」


裕也(in恭子)はいつにもなく乱れている恭子の姿に内心興奮していた。


「え?いいけど、でもどうやって?やっぱり皮脱いだ方がいい?」

「いや、違うの・・・・実はね、その皮・・・・・」


そう言って恭子は裕也(in恭子)の股間を弄り始める。


「え!ちょっ、ひやあ!!!」


突然股間を弄られ、声を上げた。それと同時に、内側からなにかがこみ上げるのを感じた。


「ま、まさか・・・・・!」

「そう、そのまさかよ。」


そう言われてまもなく裕也(in恭子)の内側からなにかが飛び出した。


「うわぁ・・・・・」

それは、裕也自身の肉棒だった。なんと、今の裕也は恭子の姿で肉棒を出している状態になっていた。今までの情事の影響か、それはすでに天高くいきり立っており、その先端からは先走り汁がでていた。


「ああ・・・・・・私のあそこから生えてるなんて、くらくらしちゃうわ・・・・・・」


恭子は物欲しそうに人差し指を口にくわえながら言った。


「いいわ。さぁ、仕上げよ。それをはやくぶちこんでぇ・・・・」


恭子はベッドに倒れ込み、股を広げて裕也(in恭子)を迎え入れる体勢を取った。裕也(in恭子)は言われるまでもなく、自らの逸物を恭子の中に打ち込んだ!!



「「ああああああっっ!!!!」」



同じ声が響き合う。
すかさず、ピストンを開始する。


「ああああ〜〜〜ん!!!いい!いい!!!気持ちイ”イ”よぉ〜!!
 私が私に犯されてるぅ!!私同士でセックスなんて!気持ちいいよぉ〜〜〜!」


恭子は完全に我を忘れて叫ぶ。両手両足をからめて抱きついていた。
端から見れば双子姉妹が愛し合っているようにしか見えない。しかし実際は夫が股間以外女の姿になってセックスをしているのだ。この事実がお互いの興奮度を高めていた。
裕也(in恭子)も女同士でセックスしているこの状況に興奮が頂点に達しつつあった。



「ああ!で、出る!!!出るわよ恭子!!!中に、中にぴゅるぴゅる出ちゃう!!!」


「いいわぁ!女同士でイキましょう!!!中に出してぇ!!!!!!」



恭子はたまらず再度ディープキスを交わす。
全身を隅から隅まで密着させたいという衝動ゆえだった。



「「イッくうううううううううううんん!!!!!」」


「「んおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」



どぴゅっ、、どぴゅっ、どぴゅっ・・・・・・・・!!!


裕也(in恭子)は恭子の中に盛大に射精した。
裕也自身、あまりにあっという間に絶頂を迎えたことに驚きつつも、力をなくし、恭子に覆い被さるように倒れ込む。
部屋中に、女二人分の濃厚なフェロモンと、少しばかりの精液の匂いが充満した。


「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・・」

「あ・・・・・あなた・・・・す、すごかった・・・・わ・・・・」

「ほんと?」

「ええ。いつになく興奮したわ。それに、あなた、私のツボというかして欲しいこと積極的にしてくれて・・・・ 嬉しかった・・・・・」

「そう?よかったぁ・・・・・・・」

「ほんと、自分自身とセックスって普通じゃない感じがして興奮するわ。」

「こっちも、女同士ってこんな感じなのかって興奮したよ。それでさ、これって返さないといけないの?」

「いや、データだけもらえればあとは好きにしていいって。」

「よかったぁ。じゃあさ・・・・・・」


裕也は耳元で恭子にささやいた。








数日後。










日下部家の夕方。恭子は家で夕飯の支度をしている。


「ただいま〜。」


玄関から裕也の声がした。


「おかえりあなた。疲れたでしょ?」

「うん、でも仕事はやく終わって良かったよ。」

「そ、それじゃ着替えてきてよ。夕飯用意できてるから。」

「うん。」


裕也は自室へ向かう。
着ていたスーツを脱ぎ、寝間着に着替える・・・・と思いきや、スーツだけでなく、下着まで脱いだ。
全裸になり、まじまじと姿見に映る自身を見つめる。


「・・・・ほんと、気づかないものね・・・・」


その姿にそぐわない女言葉でそう言ったところで、自分の手先を唾液でぬらし、背中にこすりつける。
しばらくして、裕也の背中にジッパーが浮かび上がった。



ジジジ・・・・・・



ジッパーを下ろし、出てきたのは、なんと恭子だった!


「ふぅ・・・・本当になりすませるのね・・・・」

「あなた〜。」


恭子、ではなく裕也(in恭子)が裕也の部屋に入る。


「って、もう戻ったのね。でも首だけってのも変な感覚ね。」

「あら。そういうあなただって最近私になりきりすぎじゃない?」

「今私はあなたですもの。おかしくないわよ。で、どうだった?」

「何とかなったわ。」


そう、裕也と恭子は今日一日、あの皮でお互いの姿を入れ替えて過ごしていたのだ。皮には記憶を読み取る能力があった。そのおかげで皮を着た人間はその皮の人物になりきって行動できたのだ。
裕也となった恭子は、裕也として今日一日仕事をした。裕也の仕事について、本来まったくわからないはずの恭子も、自然と仕事をこなしていく。
さらに、営業先の女性顧客に対し、女性の立場から話しをすすめ、契約をもぎとったり、女性社員とのコミュニケーションも円滑に進めるなどして社内外の人間関係を向上させた。
一方の裕也も、女性として充実した一日を過ごしたのだった。


「でも本当にすごいわね。男として、あなたとして過ごせるなんて。」

「それは光栄だわ。あなたのおかげで、私もあなたになれるなんて。 想像しただけで・・・・・」


裕也(in恭子)は耳打ちした。


「中にある"もの"が勃起しそうよ。」

「ばか」

「でも。この皮ってほんといいわね。」

「え?」

「相手になる。本当の意味で、互いを理解できるんだから。」


裕也(in恭子)の言葉に、妙に納得させられた。
実際、この皮を使うようになってから、お互いの仲は新婚の頃、いやそれ以上に深く結びついている、という実感をお互いが感じていた。
それもそのはず、お互いになることでお互いの気持ちも理解しやすくなっていたのだから。


「・・・・そうね。」

「じゃ、ご飯にしましょ。」

「うん。」

「せっかくだし、もう少し男の姿でいたら?」

「・・・・・ええ。」


恭子は、首だけ脱いでいた裕也の皮を被り直し、裕也の姿になったのだった。


その後も、この夫婦はこの皮を使って、普通ではできないプレイに興じたり、互いを入れ替えてみたり、
興味の赴くままに皮の力を堪能するのであった。









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