「おお!すごい」 単身赴任の一人部屋、缶ビールを片手に男はじっとテレビの中継を見詰めていた。 それはフィギュアスケートの国際大会。 フリーの演技をしているピンクのコスチュームに身を包んだ少女は高く舞い上がり、鮮やかにトリプルアクセルを決めると、小さくガッツポーズをした。 「くるみ割り人形」の優雅な調べに乗って氷上の美少女は華麗に舞い続ける。 「真衣ちゃんってほんとかわいいなぁ」 4分の時間は瞬く間に過ぎ、美少女が決めのポーズを取って演技を終えると、画面の向こうは大歓声に包まれた。 会場の観衆がスタンディングオベーションで少女を称える。 満面の笑みを浮かべて手を振って応える少女。 その一方で一瞬テレビに映し出された赤いコスチュームの少女がいまいましそうに、リンクの少女を睨みつけていた。 「これで優勝は真衣ちゃんか。姫子ちゃんもあんなに失敗しちゃ駄目だよなぁ。さあて、これでオリンピック選考が楽しみになってきたな。それにしても真衣ちゃんかわいいよなぁ」 男はどきどきしながら表彰式を見詰めていた。 オリンピックの最終選考会を兼ねた大会。優勝したのは15歳の天才少女浅倉真衣、そして3位に終わったのは、彗星の如く現われた真衣にトッププレーヤーの座を奪われた18歳の阪東姫子だった。 1位の表彰台に上がったピンクのコスチュームの浅倉真衣は、弾けんばかりの笑顔を振りまいている。2位の表彰台にはロシアの女王ソロツカヤ。彼女と真衣は抱擁を交わしてその健闘を称えあった。だが続いて表彰台に呼ばれた赤いコスチュームの姫子は表彰台の上から手を差し伸べる真衣を無視して3位の表彰台に上がり、彼女と視線を合わせることはなかった。 「全くあの二人仲が悪いな。いや、姫子ちゃんが真衣ちゃんのことを快く思っていないんだな。まあオリンピック出場を争うライバル相手じゃ仕方ないか。しかし真衣ちゃんかわいいなぁ」 男は三度繰り返す。 そう、自分の娘とさほど変わらない年齢の美少女、優勝した浅倉真衣の魅力に男はすっかりまいってしまったのだ。 「……そうだ!」 そう叫ぶと、男は何かを思いついたように夜の繁華街に飛び出して行った。 イメクラ2 作:toshi9 「いらっしゃいませ。あら、諸星様、またお越しになられたんですね」 「うむ」 諸星直紀は躊躇なくクラブ【イレタマ】の中に入ると、受付嬢に会員証を兼ねたメモリカードを差し出した。 「今日はいかがなさいますか」 「アルバムだ、まず選ばせてもらおう」 「は? は、はい。かしこまりました」 諸星の勢いにやや気圧されるように、受付嬢は慌ててアルバム冊子を取り出した。 渡されたアルバム冊子を諸星はパラパラとめくると、あるページの写真を受付嬢に指し示した。 「これだ、この娘だ」 彼が選んだのは【No3 ナオ】と書かれた、アップにした髪をポニーテールにまとめた少女の写真だった。 N03 ナオ 15歳 身長156cm バレエ暦10年。華奢で可憐な少女。 写真の少女はどことなく浅倉真衣に似ていた。 「かしこまりました、ナオちゃんですね」 「うむ」 ナオと書かれた写真の番号をパソコンに打ち込んでいく。 「それでは彼女の衣装をお決めください」 受付嬢は冊子のページをめくると男にページを示した。 そこにはピンクのセーターにジーンズ地のスカートといった普段着から、白いブラウスにリボンタイ、紺のベスト、スカートといったOLの制服、赤いリボンに紺色のセーラー服、金色のチャイナドレス、赤いバニースーツ、白いブラウスにピンクのミニスカートという某ファミレスのウェイトレス制服、レースとスパンコールをあしらった真っ白なバレリーナのチュチュ、黒いミニワンピースに白いエプロン、カチューシャ付きのメイド服、紺のスクール水着、ピンクの可憐なフィギュアスケートのコスチューム、或いは婦人警官の制服、フライトアテンダントの制服、さらには黒のゴスロリ服や桜色の魔法少女の衣装など様々な衣装を着た女の子の写真がずらりと並んでいた。 「ナオちゃんを選ばれたということは、今回はバレリーナのチュチュですか?」 「それはもう決めてある。……これ、これだ」 諸星は前回と違って、速攻である衣装の写真を指差した。 それは淡いピンクのフィギュアスケートのコスチュームだった。 受付嬢は彼の顔を見上げると、ふっと微笑んだ。 「なるほど、かしこまりました。フィギュアスケーターという訳ですね。ふふっバレエで鍛えているナオちゃんにはぴったりですね。さて、それではお客様の設定ですが……」 「それなんだが、ちょっと相談が」 「え?」 「こんなことはできんのかな。…………」 諸星はアルバムの別の少女の写真を受付嬢に示しながら、受付嬢にぼそぼそと話し始めた。彼が2番目に指差した少女のほうは、どこか姫子に似ていた。 No7 ミキ 18歳 身長165cm 私立女子高に通う帰国子女。 「ああ、それでしたら可能ですよ。かしこまりました。それでは……そうですね、こういうオプションは如何でしょうか」 受付嬢はぱらぱらと別のページを諸星に見せる。 「ほう、こんなことも可能なのか」 「はい。当店のシステムは完璧ですから」 「わかった、それでいい。その設定で頼む」 「かしこまりました」 受付嬢は、次々と膝上に置いた端末にデーターを打ち込んでいく。 「それでは最後にコースですが……」 「勿論、Fコースだ。ナ、ナオちゃんでな」 そう答える諸星の言葉は少しだけ震えていた。 受付嬢はデーターを打ち込み終えると、パソコンからメモリーカードを抜き出し手渡した。 「それでは奥の窓口で本日分の会費をお支払いください。それから今回はナオちゃんとミキちゃん二人分にオプション付きですから、前回より高くなりますよ」 「うむ、問題ない」 受付嬢に促され 諸星はやや緊張した面持ちで立ち上がると、部屋を出ていった。 一方部屋に残った受付嬢は、端末を閉じながら楽しそうに笑っていた。 「昨日きたばかりなのに、もう来るなんてね。くふふふっ、今晩も楽しませてあげるよ」 「それではシステムを起動させます。どうぞこちらにお入りください」 窓口の女性にメモリーカードに紙幣を数枚添えて手渡すと、諸星は後から付いてきた受付嬢に導かれて、奥に並んだ扉のうちの一つに入った。 部屋の中は前回使った部屋よりもずっと広い。 諸星が中に入ると同時に後ろで扉がバタンと閉じる。 「ようこそ当クラブへ」 天井のスピーカーから受付嬢の声が流れた。 「それでは早速スタートいたします。部屋の奥の一番右の扉を開けてください」 言われるままに諸星は壁に作りつけられた扉を開けた。 「あっ!」 そこには彼が指定したピンクのフィギュアスケートのコスチュームを着た少女が無表情で立っていた。 胸には「No3 ナオ」というネームカードを付けている。 「こ、これって……やっぱり人形なのか?」 そう、全く動こうとしない少女の顔は無表情だった。だが、頭上のライトがつくと同時に、その表情はみるみる生気あるものに変わる。そして目の前に立つ諸星に向かってにっこりと微笑んだ。 「諸星様、ようこそいらっしゃいました。ナオです」 優雅な動きで少し膝を折り、ナオは諸星に向かって挨拶した。 「では早速始めさせてもらいます。最終確認ですが、コース選択はFコース、オプション付きでございますね」 こくりとうなずく諸星。 「それではまず服をお脱ぎください」 「うむ」 ナオに言われる間もなく、諸星は己のセーターを、スラックスを少し緊張した面持ちで脱ぎ捨てていった。 「まあ、そんなに慌てなくてもいいのに。うふっ、それじゃああたしも脱ぎますね」 そう言いながらナオは着ていたフィギュアスケートのコスチューム、パンティストッキング、そして白いスポーツショーツと脱ぎ捨てていった。 さらに後ろ手にうなじに両手の指をかけると、ぐいっと爪を立てる。そして両側に押し広げた。 「あ!!」 中からのっぺらぼうの人形が出てくるかと思いきや ナオの皮の中から出てきたのは、赤いフィギュアスケートのコスチュームに身を包んだミキだった。 ミキはナオの頭の皮をぺろりと下ろすと、腕、上半身とナオの皮を脱いでいった。 最後に両脚を皮から抜き出すと、そこには右手にナオの皮を持った赤いフィギュアスケートのコスチュームを着たミキが立っていた。 呆気にとられてそれを見詰める諸星。 「お前、ナオちゃんじゃなくてミキちゃんだったのか。いやそもそも……」 「うふふふ、さあどうなんでしょうね。でもそんなことどうでも良いじゃないですか。それよりさあこれを」 ミキは諸星に向かって着ていたナオの皮を差し出す。 「これを着てください。これを着て、あなたがナオになるんですよ。そしてナオが着ていたピンクのフィギュアスケートの衣装も全てあなたが身に着けるんです。そうしたら、あなたはさっきまでのあたし、フィギュアスケート少女になれるんですよ」 「おれがナオちゃんになる。これをかぶればおれがナオちゃんに、いやこれをかぶって俺は真衣ちゃんになるんだ」 諸星の中で、ナオの顔が浅倉真衣の顔とだぶっていた。 はぁはぁと興奮しながら諸星はミキからナオの皮を受け取ると、背中の切れ目をぐっと押し広げた。 諸星の股間は、興奮しきった彼の気持ちそのままに直立している。 「お、お客様、申し訳ありませんが皮が同化するまで我慢してくださいね。そ、その、中を汚さないでください」 「はぁはぁ、わかっとる、はぁはぁ」 そう言いながら、諸星はナオの皮の中に脚を突っ込んだ。中は生きているかのように生暖かく、そしてさらさらとしており、ナオの脚よりもはるかに太い諸星の脚を心地よく受け入れていく。 「う〜、この感じだ、この変な感じだ」 興奮に鼻息を荒くしながら、諸星は両脚をぐいぐいと入れ込むと、ストッキングをはくように皮のつま先までぴたりと密着させていった。続けて下腹部を、腰を、腹を中に潜り込ましていく。太った彼の体型そのままにか細いはずの腹の皮がぐんぐん伸びる。そして直立した彼のモノも皮の中に覆われてしまうと、ナオの皮の下腹部にはその太い丸みがくっきりと浮かび上がっていた。 「この微妙な感じがまた何とも、はぁはぁ……く、出そうだ」 「お、お客様、やめてください!」 下半身だけをナオの皮の中に入れ、恍惚とした表情で己の股間をまさぐり始めた諸星を、ミキは慌てて制止した。 「あ、すまん」 「もお、お客様、早く被り終えてください」 「ああ、わかったよ」 諸星はぐいっと胸まで皮を引き上げると、両腕をナオの皮の中に差し込んだ。昨日リョウコの皮に腕を通していった時には難行苦行であったが、今日のナオの皮はリョウコのものより小さいにもかかわらず、彼の太く短い腕にすんなりとフィットしていく。 やがてその指先まですっかりナオの皮に密着していた。 「なんとなく昨日より楽だな」 「お客様の体が少しだけ当店のシステムに馴染んでいらっしゃるんですよ。回数を重ねると、そのうちどんな娘の皮でも何の抵抗もなく着ることができるようになりますよ」 「ほう、そうなのか。そりゃありがたい」 無邪気に喜ぶ諸星を見て、ミキはかすかに唇を歪ませて笑った。 「ですから何度でも遊びにいらっしゃってくださいね。ほら、お客様、もう少しですよ。早く頭を中に」 「そうだな、頭をこの中に入れてしまえば俺は、えへへへ」 目の前にだらりと垂れ下がるナオの頭の皮、それを両手で持ち上げると、諸星はその中に自分の頭を突っ込んだ。 するするとナオの皮は彼の頭を中に受け入れていく。 被り終えた諸星が、皮を少しずつずらしながら鼻の位置、目の位置を調節すると、その視界が元に戻る。 だが大きな姿見に映った自分の姿に、諸星はまたしてもげんなりとさせられた。 「これだけは見たくないもんだな、醜い。だが……」 蟹股で立ったその姿は、どう見ても無理やり女性の着ぐるみを着た小太りの男といったものだ。しかしその後で起こる変化を知っている諸星は、それが始まるのをわくわくと待っていた。 「さあ、始まりますよ」 その言葉と同時に諸星の体に変化が起こり始める。両手両脚が細くなっていく。そう、その体型はナオ本来の華奢でしなやかなものに変わっていき始めていた。余ってたるんだ皺はピンと伸びてハイティーンらしいつやつやしたものに変わっていく。膨らんだ腹も肩幅のどんどん萎み、細く絞れていく。わずかに膨らんではいるが、からっぽだった胸の中身がぎゅっと詰まっていく。 「おっ、おっ、おっ、きたきたきた」 そう、全ての変化が終わると、姿見に映っている彼の姿は、最早華奢な美少女、全裸のナオそのものだった。 「これでもうナオの着ていたピンクのコスチュームもあなたのもの。さあ、着てみてください」 姿見に映る、華奢な美少女ナオになった己の姿に見入っていた諸星は、ミキの言葉に促されて床に脱ぎ捨てられたシンプルな白いスポーツショーツを拾い上げると、足を通してくいっと引き上げた。そしてその上から薄い色のパンティストッキング、そしてピンクのフィギュアスケートの衣装を身に着けていった。 それらはナオになってしまった彼の体にぴったりとフィットした。股間に、小さな胸に、細い腰に、脚に。 自分の肌を通してその感触を感じるたびに、彼の体をどきどきした興奮が駆け巡る。 「うふふふ、とってもかわいいわよ。さあ、最後はこれよ」 ミキは一組のフィギュアスケート用のスケートシューズを差し出した。 「え? でもここはリンクじゃない……」 「何言ってるの、その衣装にはやっぱりこの靴でしょう」 「そうか。わかったよ」 「女言葉を使いなさい。もうあなたはかわいいフィギュアスケーターなんだから。ね、真衣ちゃん」 「え? 真衣ちゃんって」 「もう始まっているのよ。あたしは今から姫子ね。そういう設定がご希望なんでしょう。さあ早く履いて」 「わ、わかった……わよ」 かわいい少女の声が自分の口から出る。そのことに興奮を覚えながら、諸星はスケートシューズに足を入れ、靴紐をぎゅっと結んだ。 「できた……わよ」 スケートシューズを履き終えて立ち上がった諸星の目の前の姿見には、髪をアップにした、ピンクのフィギュアスケートの衣装に身を包んだ美少女が映っている。少しはにかんだ表情でじっとこちらを見ている少女は、本当に浅倉真衣そっくりだった。 「真衣ちゃん、残念ながら今日の試合はあたしの負けね。でも……」 姫子になりきったミキが何かを言おうとしたその瞬間、突然眩いばかりの光が部屋を包んだ。 「ま、眩しい!」 慌てて両手で顔を覆う諸星。やがて光が消える。 「うふふふふふ」 「な、何が起こって……え!?」 眩んだ目が慣れて段々視界が戻ってくると、諸星は周りの様子がおかしいことに気が付いた。 広いとは言え、そこはクラブ【イレタマ】の部屋の中だった筈なのに、やけにだだっ広い。 いや、そこは最早部屋ではなかった。彼が立っていたのは氷上、そう、スケートリンクだった。しかも大観衆が取り囲んでいる。 「え! いつのまに」 「「「ま〜いちゃ〜ん」」」 観衆が立ち上がってうぉ〜と声援を上げる。 諸星は、戸惑いながらも、自分が浅倉真衣なんだという設定を思い出し、遠慮がちに観衆に向かって手を振った。 「「「うぉ〜〜〜」」」 再び大歓声がリンクを包む。 そう、それはさっき諸星がテレビで見た、真衣が演技を決めた瞬間に他ならなかった。 今、俺があの時の真衣ちゃんを、可憐なスケート少女をやっている。 本物の真衣がテレビで見せた表情そのままに満面に笑顔を浮かべながらも、どきどきとそんな感慨にふける諸星だった。 「浅倉真衣!」 「え?」 背中からの突然の呼びかけに諸星は振り返ろうとしたが、スケート靴で立っていることを忘れた彼は、つるりと転んでしまった。 「いって〜」 お尻からどしんと転び、痛みに声を上げる。 観衆はその仕草に再びどっと沸いた。 立ち上がろうとする諸星だが、スケートが得意ではない諸星は、上手く立ち上がることができない。それは真衣とは思えないあまりにぶざまなものだった。 「ふん! チャンピオンともあろうものが全くぶざまなものね」 恐る恐る振り返ると、そこにはミキ、いや姫子が両手に腰をあて、勝ち誇ったように見下ろしていた。 「試合には負けた。でもこの勝負あたしの勝ちよ。お〜ほほほ」 「え? どうしてそんなこと」 「ふふん、オリンピックにはあたしが行くって試合の前からもう決まっているの。あなたなんかいくらがんばったって行けやしないんだから」 「あの、何を言ってるんだか」 「大人の事情よ。小娘のあなたなんかお呼びじゃないってこと。あなたは大人しくジュニア大会に出ていれば良いのよ。さあ、あなたは負けたの。とっととこのリンクから出て行きなさい」 「ええ!? だって俺、いやあたし、動けない」 膝をがくがくさせながらかろうじて立ち上がる諸星。 「あらあら、天才少女ともあろうものが全くだらしないものね」 スーッと諸星の周りを滑っていた姫子は、彼の手をぎゅっと握ると、ひっぱり回した。 「や、やめて、転ぶ、ころ……」 どしん! その瞬間、真衣の姿になった諸星は再び尻餅をついていた。 「いった〜」 「浅倉真衣!」 諸星に向かって姫子がびしっと指差す。 「遊びは終わりよ。うふふ、今からあたしがあなたをめちゃくちゃにしてあげる。あたしを差し置いてオリンピックに出ようだなんて気が起きないようにね」 その時再び眩い光がリンクを包んだ。 「うわっ!」 顔を手で覆った諸星が手を離すと、再び周りの様子が変わっていた。 そこは控え室と思われる部屋だった。 「ここは……」 尻餅をついたまま呆然と見上げる諸星を、いや真衣を、姫子はにやにやと何かを企む表情で見詰めていた。 そして自分のスケートシューズを脱ぎ捨てると、真衣の足に手を伸ばした。 「あ、な、何を」 しかし真衣の問いに答えずに、姫子は黙って真衣のスケートシューズの紐を解き、彼女の足から外した。 「うふふふ、ここにはあたしたちの他には誰も来ない。浅倉真衣、あなたはもうあたしのものよ」 「え? あの、姫子さん、うぷっ」 姫子はいきなり真衣に抱きつくと、彼女の唇を己の唇で塞いだ。 「ん〜ん〜ん〜」 真衣の口の中に強引に舌を侵入させると、姫子は真衣の舌にくにゅくにゅと絡めた。 (あ、あうん、あ、い、いい) やがて口を離すと、姫子は口元から垂れる涎を右手でくいっとふき取った。 「かわいい、ほんとにかわいいわ。お人形さんみたい。好きよ浅倉真衣」 「は!? 何を言って、何か設定と違う、あひっ!」 後ずさる真衣の胸に手を当てる姫子。 「この小さな胸、華奢なこの腕、愛らしいその目、子どもよね、あなたってほんとにまだ子ども」 「ちょ、ちょっとミキちゃん、何言って……」 「でも……ああ、駄目、もう駄目、好きよ、真衣。あたしどんなにこうしたかったことか」 そう言いながら、姫子は真衣をぎゅっと抱きしめた。 「かわいい、ほんとにかわいいよぉ」 「あ、あうん」 トレーニングで鍛えた姫子に力いっぱい抱きしめられ、真衣の体から力が抜けていく。 (あ、ああ、やわらかい。俺の胸に、いいえ、あたしの胸に姫子さんの胸が触れて……ああん」 控え室の中、ピンクの衣装の真衣に赤い衣装の姫子は蛇のように体をからみつけていた。 真衣の小さな胸に姫子の巨乳が押し付けられ、二人の体の間でそれがぎゅっとつぶれている。 「好きよ真衣、あなたのここもアソコも全部あたしのもの」 そう言いながら、姫子は真衣の首筋をぺろりと舐めると、真衣の股間にぴたりと手の平を当てた。 「や、やめてください、姫子さ……ああ、あひん、いや、なにか変な、変な気持ち」 真衣は、いや真衣になりきった諸星は、その時奇妙な快感に包まれていた。 それは成熟した女性だったリョウコになった時に感じたものとはまた違う、言いようのない切なさを伴って、彼の中を駆け巡っていた。 「あん、あうん、あ、いい」 「好きよ、好きよ、真衣」 そう言いながら姫子は衣装越しに真衣の体を愛撫し続ける。唇を、首筋を、わき腹を、胸を、背中を、そして股間を。 セックス経験のない真衣は、体中が痺れるような快感に翻弄されていた。コスチュームの股間がじわりと濡れていく。 「真衣、あたしも気持ちよくしてちょうだい」 「え、そんなこと」 真衣に絡みつきながらも、その赤いコスチュームを脱ぎ捨てていく姫子。そして真衣のコスチュームをも巧みに脱がせていた。 「さあ、あたしのこと、姫子おねえさまっておっしゃい」 ねっとりした目で真衣を見詰める姫子。 「姫子……おねえさま」 「そうよ、ほんとにいい子ね」 姫子は再び真衣に抱きつくと、真衣とその両手両脚を絡め合った。 直接触れ合う肌が、いっそう真衣の感覚を翻弄する。 やがて体を回転させた姫子は、真衣の股間に顔を埋めると、舌先をその中に差し込んだ。 「はうっ!」 ビクッと体をのけぞらせる真衣。 ぴちゃぴちゃと部屋に姫子の舌を使う音が響く。 「ふふふ、とっても気持ちいいでしょう。セックスって、いいえ女同士って気持ちいいものなのよ。もうフィギュアスケートのことなんて忘れてしまいなさい。さあ、あたしのも、して」 そう言いながら、姫子は真衣の顔に己の股間を押し付けた。 「う、うぷっ」 「さあ、舐めて」 真衣の顔に押し付けた下腹部を左右に動かして、姫子は「ああん」とため息を漏らす。 真衣は止む無く、姫子のソコをぺろりと舐めた。 「あん、いい、いい気持ち。さすが天才少女。初めてなのに上手よ」 姫子の舐める音と真衣の舐める音が重なり合ったぴちゃぴちゃという音が、二人きりの部屋に響いていた。 「ああ、いいわ、とってもいい。さあ真衣、そろそろ」 姫子は体を回すと、自分の股間を真衣の股間にぴったりと重ね合わせた。 腰を動かし、捻る姫子。 「ひあっ、ああ、いい」 「あ、あたしも……あう、いい、いいの」 真衣も無意識に腰を動かし始める。 「ああ、いい、いい、いく」 「いく、いっちゃう、いっちゃうの」 「「あ、ああ、ああああ、いくう〜〜〜」」 「どお、真衣、女同士は」 「姫子おねえ……さま、はぁはぁはぁ、よ……よかっ……た」 姫子に抱かれたまま、とろんとした目で答える真衣。 「ふふふ、そうよ、女同士もいいものなのよ。でもそろそろおしまい」 「え」 真衣はそのあどけない顔に不満気な表情を浮かべた。 「あたし、もう少しこのままで……」 「時間が来たわ。だからもうおしまいよ。私は姫子からミキに、そしてあなたは真衣からナオに、いいえ男に、元の姿に戻るの」 ミキの言葉を聞いて、はっと我に返る諸星。 「そうだった、何時の間にかすっかり自分が浅倉真衣だって思い込んで……。それにしても、もうそんなに経ったのか」 「はい、その通りですよ」 そう答えながら、姫子は諸星からナオの皮を脱がせていった。 そう、彼は元の姿に戻ったのだ。 「今日のポイントを加算しておきました。それではまたのご利用をお待ちしております」 「ポイント?」 「はい。ポイントが溜まりますと、各種優待、特別サービスが用意してありますので、是非ご利用くださいね。詳しい内容は、ホームページの会員専用コーナーに紹介してますから」 諸星に会員用メモリーカードを渡すと、受付嬢は彼をにこやかに送り出した。 「使えば使うほどポイントが溜まるってか。どんなサービスなのか。いやそれよりも……」 立ち止まって快感を反芻する諸星。 「……よかった」 さて、次は誰にしようか。 ますますイメクラ【イレタマ】の虜になっていく諸星直紀だった。 (終わり) 2005年12月26日 脱稿 後書き 「イメクラ」シリーズ第二弾ですが、やってしまいました(^^; フィギュアスケートファンの方、どうもすみません。時節ネタというか、マオちゃんがとってもかわいいもんで、つい妄想が膨らんでしまいました。このお話はあくまでも勢いで書いたフィクション、私の妄想ですんで(笑 ということで、お読みいただきました皆様、どうもありがとうございました。 |