憧れの女子バスケ部(秋原 麻衣にくびったけ!)

作:Tira


とある高校。学校の授業が終わったあと、蒸し暑い体育館では女子バスケ部の女の子達が汗を流しながら練習を始めていた。
柔軟体操から始まり、パスやシュート、そしてチームに別れて試合形式の練習。
真剣な表情で練習に打ち込んでいる彼女たちはとても美しく見えた。
赤いタンクトップに同じく赤い短パンというユニフォーム姿。
身軽に動く彼女たちに熱い、そしてどこかいやらしい視線を送っているのは、2年生の福谷太一(ふくたに たいち)と、朝宮啓次(あさみや けいじ)だ。
二人が特に視線を送っているのは、クラスメイトの秋原 麻衣(あきはら まい)。
身長は168センチくらい。女の子の中ではかなり背が高いほう。とはいえ、バスケ部では普通なのだが。
茶色いショートカットの彼女は、毎日の激しい運動をしているせいで余分な脂肪が付いておらず、ほっそりとした体つき。
でも、胸とお尻は女の子と言うよりは、女性らしいラインをしっかりと持っていた。
顔立ちは美人か可愛いかと言われると……可愛いほうだろう。
だがそれは、短く髪を切っているからで、ロングヘアーにすると大人びた雰囲気になるかもしれない。
そんな彼女のことが大好きな二人は麻衣にばれないよう、いつもこっそりと練習風景を眺めているのだった。
「いいよなあ。秋原のスタイルって」
「ああ。俺、絶対秋原と付き合いてぇよ」
「俺だってそうさ。お前と俺はライバルなんだから」
「よく言うよ。俺達、秋原と付き合ってるわけじゃないんだからライバルとはいえないだろ」
「そんな事無いさ」
「だってクラスメイトなのに話すら、した事ないんだぜ」
「そ、それはそうだけどな……へへ、まあいいじゃんか。もうすぐ話せるようになるんだから」
「はぁ?それってどういう事だよ」
「まあまあ。それは後のお楽しみって事で」
「何だよ、その意味ありげな話し方は。それに、どうしてそんなにニヤニヤしてるんだ?」
「別に。意味なんて無いさ」
「怪しい奴だな。ところでその手に持っている紙袋は何なんだ?教室では持っていなかったよなあ」
「ずっと隠し持っていたんだ。お前にも秘密だよ」
「何さそれ、俺にも教えてくれよ。親友じゃないか」
「後で教えてやるって。おっ!そろそろ部活も終わりそうだな。なあ啓次。俺さ、後で用事があるから教室で待っていてくれないか?」
「それなら一緒に教室に行けばいいじゃないか」
「ダメなんだ、外せない別の用があるんだ。すぐに行くから、絶対教室で待っていてくれよっ!」
「な、何だよその用事って。おい、太一っ!」
太一はそう言い残すと、小走りで啓次のもとから去っていった。
「はぁ?何だよあいつ。別の用なんて後で済ませればいいじゃないか。よく分からないやつだなぁ」
太一は啓次の後姿が見えなくなると、ぶつぶつと独り言を言いながら自分の教室へ戻っていった。
ちょうど部活動の練習も終わり、女子バスケ部の女の子たちが片づけを済ませて校舎1階の隅にある更衣室へと戻っていく。
啓次と別れた後、別のところで女子バスケ部の女の子たちを見ていた太一は、更衣室の出口に先回りして麻衣が出てくるのを待っていた。
「じゃあね〜!」
「また明日〜」
女子更衣室を出た女の子たちは、手を振りながらバラバラに帰っていく。
もちろんグループになって帰る女の子たちのほうが多いのだが。
「まだ更衣室から出てきてないよな。今日は秋原が更衣室の掃除当番だから最後は一人になるはず……」
そうつぶやいた太一は、女子バスケ部の女の子達が出払った頃合を見て、開いている更衣室の扉からそっと覗き込んでみた。
すると、思ったとおり麻衣が一人で更衣室の掃除をしているところだった。
まだ女子バスケのユニフォーム(赤いトランクスと短パン姿)のまま、床を小さなモップで拭いている。
「よし、誰も見ていないよな……」
周りをきょろきょろと見回して人気の無いことを確認した太一は、更衣室の外から半開きになっている扉をコンコンと叩いた。
もちろん麻衣には見えないように。
「誰?」
モップを持つ手を止めた麻衣が開いている扉を見た。
しかしそこに人影は無かった。
「誰なの?」
もう一度声をかける。
しかし、返事は無い。
麻衣は不思議に思い、開いている扉の方へ歩いていった。
「ん?」
麻衣が扉から顔を出して周りを見渡した……が、不意に何者かの手で目隠しをされ、鼻と口に湿ったハンカチを押し当てられた。
「んううっ!」
驚いた麻衣が顔に当てられた手を振り払おうとしたのだが、呼吸をするたびに意識が薄れ、あっという間に身体の力が抜けてしまった。
そして、何も言わないまま廊下に床に倒れこんでしまったのだ。
ぐったりと眠ったように。
「ふぅ……まずは第一段階は成功だな」
太一はそう言うと、他人に見られないよう急いで同じくらいの背丈の麻衣を担ぎ、女子更衣室の中に入って扉の鍵を閉めた。
そして、ぐったりとした麻衣の身体を床の上にそっと寝かせた。
麻衣はすっかり意識を失い、眠ってしまっているようだ。
「知り合いからもらったクロロホルムってすごい効き目だな。これならしばらくは起きないだろう。それにしてもいいよなぁ。秋原の寝顔って!このスタイルも俺好みだよ」
麻衣の赤いユニフォーム姿を見ながら、持っていた学校のカバンと紙袋を床に置く。
そして、紙袋からごそごそと取り出したのは、麻衣が着ているのと同じ
女子バスケ部の赤いユニフォーム、学校のセーラー服に青と赤のチェック柄のプリーツスカート、女性用の下着だった。
更に、麻衣の足のサイズくらいの白い靴下や、同じく白いスニーカーまで出てくる。
「ずいぶんとお金がかかったよな。バイト代をすべて突っ込んだし」
そして、最後に紙袋から取り出したのは、黒い色の全身タイツだった。
「さてと、啓次も待っていることだし、早いとこ済ましてしまおうかっ。へへへ。この時をどれだけ待ったことか。ごめんな秋原。はぁ、はぁ……俺、秋原を……」
うれしそうな表情をした太一は、ドキドキしながら眠っている麻衣の横にしゃがみこむと、汗が染み付いて濃い赤色になっているタンクトップに手をかけた――
その少し前、教室でずっと待っていた啓次は、なかなか来ない太一をイライラしながら待っていた。
「あいつ、いつまでかかってるんだよ。もう20分も待っているのに。先に帰っちまうぞっ」
そう言った矢先、ガラガラと教室の扉が開く音がして――
「遅かったじゃないか太……」
「あ、朝宮。まだ教室にいたの?」
「え……あ、ああ……」
「誰かと待ち合わせ?」
「あ、ああ。た、太一を……福谷を待っていたんだ」
「ふ〜ん」
てっきり太一が来たと思ったのだが、開いた扉から現れたのは学校のカバンと紙袋を持った麻衣だった。
部活を終えて、セーラー服に着替えを済ませている。
それよりも、啓次はクラスメイトなのに一度も話したことが無かった麻衣と初めて話したことに緊張している。
「ど、どうしたんだよ。秋原こそ。教室に忘れ物でもしたのか?」
「ううん。そういうわけじゃないけど。ねえ朝宮。まだ福谷を待ってるの?」
「そ、そうだな。あいつが待っていてくれって言ったから」
「でも私、福谷がさっき学校の門を出て行くのを見たけど」
「えっ!あいつ、もう帰っちゃったのか?」
「多分ね、待ちぼうけ食らわされちゃったんじゃない。あはは」
「うそだろ。もう20分も待ってるのに」
「そうなの。ねえ、それなら一緒に帰らない?」
「……え?」
「私も今から帰るんだ。ねっ、一緒に帰ろうよ」
――ほ、ほんとかよ。俺が秋原と一緒に帰るのか?――
思わぬ展開に、声を出せなかった啓次。
「私と帰るの、嫌かな?」
「……あ……と、とんでもないよ。あいつも帰ったなら別に残る必要もないし」
「そっか。じゃあ帰ろうよ」
「ああ」
――信じられない展開。
コレはもしかしたら福谷のおかげなのかもしれないな。
というか、あいつが仕組んでくれたのかな――
そう思いながら、二人して教室を出た。
横に並んで廊下を歩く。
啓次は太一と同じく、それほど背が高くないので、麻衣と並んで歩くと一緒か麻衣の方が少しだけ高いように見えた。
横を向くと、すぐそこに麻衣の顔があるのは男として少し恥ずかしい。
「ん?何?私の顔に何かついてる?」
「あ、いや、なんでもない」
「そっか」
啓次の行動を見た麻衣はニヤッと笑うと、それとなく啓次の腕に自分の腕を絡めてきた。
ドキッとしながらその絡んだ腕を見た啓次。
半袖のセーラー服から伸びた麻衣の細い腕が、黒い制服を着ている啓次の腕に絡み付いている。
そして視線を更に横に移すと、紺色のストライプが入ったセーラー服の襟元から少しだけ胸の谷間が見えていた。
それを見て、またドキッとする。
その視線に気づいた麻衣。
「やだ朝宮、どこ覗いてるのよ」
「あっ……ご、ごめんっ」
「ふふ。スケベなんだから」
啓次は顔を真っ赤にしながら、急いで麻衣の胸元から視線を外した。
「ねえ朝宮。こうやって腕を組んでたらカップルのように見えるかな?」
「えっ……さ、さあな……」
「見えるよね、きっと」
「あ、ああ……たぶんな」
「え?何よ、もしかして緊張してるの?」
「い、いや。そういうわけじゃないんだけど……」
麻衣がさっきよりも腕に力を入れてくる。
すると、啓次の身体が麻衣の方へ引き寄せられ、柔らかな胸がセーラー服越しに当たるのだ。
制服越しにでも分かるその感触。
――す、すげえよ。俺の腕に秋原の胸が当たってる――
興奮して息が荒くなる。
それを見てクスクスと笑った麻衣。
啓次も苦笑いして頭をかいた。
「は、ははは……あ、あれ?」
もう一度、麻衣を見た啓次は、反対の手にカバンと共に持っている紙袋に気がついた。
――そういえば太一が持っていた紙袋に似てるなぁ――
「な、なあ。その紙袋って……朝宮が持っていた紙袋とよく似ているよな」
「えっ。そ、そうかな。たまたま同じ紙袋を持っていたんじゃない?」
「そうか。でも紙袋なんて持ってくるの、珍しいな」
「うん。カバンに全部入りきらなかったんだ」
「何が入っているんだ?」
「え〜。見てみたい?女の子の持ち物」
「べ、別に……いいよ」
「ほんとは見たいんでしょ。特別に見せてあげる」
そう言うと、麻衣は組んでいた腕を外して紙袋の中身を見せた。
そこには、数冊の教科書やノートと、先ほどまで部活で使用していたバスケ部の赤いユニフォームが入っていたのだ。
「き、教科書とバスケの……」
「そうよ。カバンの中に全部入らなかったから」
そう言って、カバンをポンポンと叩いた麻衣。
そのカバンは結構膨れていて、叩いた時の感じからすると衣服が入っているように思える。
それを裏付けるのは、カバンのファスナーが完全に端まで閉まりきっておらず、その少しの隙間から見えていた黒い制服のような生地。
それに気づいた麻衣が、慌ててファスナーを閉めた。
「あれ、今のって……俺達の制服?」
「ち、違うよ。そんなの入っているわけ無いじゃない。これは私のひ・み・つ!」
何かごまかすようにしながら、先に階段を下りてゆく。
啓次も遅れないように麻衣の後をついていった。
「ねえ、ちょっと寄り道して帰らない?」
麻衣が頭を後ろに向けて、啓次を見ながら階段を降りる。
啓次もそうしている麻衣を見ながら階段を降りた。
「え、いいけど。何処に行くんだ?」
「そうね。ラブホテルなんてどう?
「いっ!?」
「あはは。冗談よ、冗談」
「な、何だよ。からかうなって」
「ごめんね。でも、ちょっと寄り道して帰ろうよ」
「……いいよ。何処に行くんだ?」
「……人気の無いところがいいな」
「人気の……無いところ?」
「うん」
「ど、どうして人気の無いところなんて……」
「……いいじゃない。そうだ、カラオケボックスに行く?」
「えっ。カラオケボックスって駅前の?」
「うん。嫌かな?」
「べ、別に構わないけど」
「私、お金持ってないんだけど」
「……それっておごってくれって事?」
「ダメ?」
「か、構わないよ。カラオケ代くらい。今の時間なら安いだろうな……平日だし」
啓次はそう言って、制服のズボンに入れていた財布の中身を確かめた。
「ラッキー!それじゃあ早く行こうよ」
「ああ……」
半ば強引に決められた感じ。
二人は少しずつ暗くなり始めた道を歩いていった――
――何を考えているんだろう?――
啓次はそれだけをずっと考えていた。
初めて話したのは麻衣だって同じ。
お互い話したことの無い状態で、ここまで親しく出来るものなのだろうか?
啓次にとってはとてもうれしいことだが、何だかしっくり来ないのだ。
もちろんクラスメイトだし、普段の行動くらいは知っている。
でも……いや、もしかして……
――もしかして……秋原は俺の事が……す、す――
「何時間にする?」
「あ、別に何時間でもいいよ。俺、この後は帰るだけだし」
「それじゃあ2時間にしようか」
「それくらいがいいな。あまり長いと腹が減っちゃうから」
「うんっ」
受付を済ませた二人は店員に引き連れられ、こじんまりしたボックスに案内された。
「お飲み物は何にしましょう?」
「そういえばワンドリンク制だったか。じゃあ俺はオレンジジュース」
「それなら私も」
「承知いたしました」
店員がメモを持ってボックスから出てゆく。
「ねえ、先に歌ってもいい?」
「いいよ。初めてだな、秋原の歌声って。どんな曲を歌うんだ?」
「へへ。それじゃあ……」
麻衣はリモコンを使って曲番を入力した。
予約した曲名が画面に表示される。
「え?男の曲なのか?」
「うん。悪い?」
「いや、全然悪くないけど……」
――この曲って太一の十八番だよな――
「それじゃあ歌いま〜す」
麻衣は笑顔でマイクを持つと、うれしそうにカラオケを歌い始めた。
彼女の声がマイクからスピーカーを通ってボックス内に広がる。
女の子とカラオケに行くなんてめったに無い啓次にとっては、その麻衣の声がとてもうれしかった。
それにしても、この歌い方って――
似てる。太一にすごく似ている。
マイクを持っていない方の手で喉を押さえて――それは、まるで自分の声を確かめながら歌っているようだった。
ヒューヒュー!
啓次は麻衣の歌が終わるとパチパチと拍手をしてからたずねてみた。
「今のって福谷の歌い方にそっくりだったな」
「え、そう?そっかぁ。きっとそれは私と福谷が繋がっているからよ」
「つ、繋がってるって?」
「私は福谷のことなら何だって知ってるんだから」
「な、何だって知ってるって……どういうことだよ」
「いいじゃない。それよりも曲を予約したら?時間が勿体無いよ」
「そんな事は別にいいんだ。それよりもどうして福谷のが何だって分かるんだよっ。あいつは秋原と話したこと無いって言ってたのに」
「うふふ。福谷って身長は私と同じ168センチ位で体重が65キロでお父さんの名前は○○で、お母さんの名前は△△なのよね。それでこの前の物理のテストは珍しく87点。でも英語は24点だったから親に怒られたのよ」
「…………」
「それから……そうね、お臍(へそ)の右にホクロが二つあって、アレの横にも小さいのが付いてるんだよ」
「ア、アレって……そ、そんな……事まで」
「家の部屋の本棚、一番下の図鑑が入っている奥に、昨日の放課後に朝宮が貸してあげたエロ本を隠してるのよ」
「……そ、そうか……」
先ほどまでうれしそうにしていた啓次の表情が、今はとても悲しそうになっている。
すごい落ち込みようだ。
――そんな事まで知っているなんて。
秋原と付き合いたいなんて言っときながら、あいつ、実はもう付き合ってたんじゃん。
話したことさえないなんて……くそっ!俺、、太一にだまされてたのかよ――
「あれ、朝宮?どうしたの?何かすごく悲しそうな顔してるけど。何落ち込んでんの?」
「……福谷と……付き合ってるのか?」
「え、福谷と?」
「アイツ、俺には何にも言わないからさ」
「……付き合っていると思う?」
「そりゃ、それだけ知っているのなら付き合ってるんだろ」
「教えてほしい?」
麻衣は悪戯っぽい目すると、二人がけの椅子に座っている啓次の太ももを跨ぐようにして深く座った。
啓次の太もも……というか股間に、麻衣の体重と柔らかいお尻の感触が伝わってくる。
「お、おい……」
「んふっ!すっかりしょげちゃって。ねえ、触らせてあげよっか」
「な、何だよいきなり……あっ……」
麻衣は啓次の両手首を掴んで、そのままセーラー服の胸元に宛がった。
ムニュッとした胸の感触が手のひらいっぱいに広がる。すると、啓次のムスコが自然と大きくなり始めた。
それが麻衣のパンティを押し上げようとする。
「あれ?朝宮のアレが硬くなってきた。もしかして興奮してるの?」
「だ、だって……こんな事されたら誰だって……」
「あ……私のアソコに当たってる……」
麻衣がプリーツスカートを捲って、白いパンティを持ち上げようとする啓次のムスコを覗き込む。
その姿を見て、更に興奮する啓次。
「ふふふ。まるで私のココに入れたいって言ってるみたいね」
白いパンティのノッペリとした丘を上下に摩りながら啓次を見つめる麻衣の表情は、妙に艶かしかった。
どうしていいのか分からない啓次の両手は、まだ麻衣の胸に張り付いたままだ。
「ねえ朝宮。私と福谷の秘密、知りたい?」
「…………」
「私は……福谷の物なの。福谷に命令されれば何だってするわ。もちろんセックスだって」
「……そんな……仲……なのか……??」
「だって私は福谷の奴隷なんだから」
「ど、奴隷……」
「……ふふふ。ごめんね朝宮」
「……な、何が……何を謝ってるんだよ……」
「今日は楽しかったでしょ。こうやって秋原麻衣と楽しくデートできたんだから」
「な、何言ってるんだよ……全然……意味分かんねえよ……」
「じゃあ教えてあげる……」
麻衣は座っている啓次の上で、両手をうなじに回すと、そのまま――
頭からガバッと服を脱ぐような仕草をした。
すると……本当に脱げてしまった。
「…………」
言葉が出ない啓次。
目の前で太ももの上に座っているのは、セーラー服を脱いだ麻衣ではなく、セーラー服を着たままの……太一だったからだ。
「じゃーん!驚いたかぁ?」
「…………」
「何だよ。その無口な態度は。ちゃんと反応しろよ」
「…………」
「お〜い、啓次?」
「…………」
「け・い・じ・クンッ!」
「……う……うう……うああああああっ!」
啓次はいきなり現れた太一に驚き、思わず立ち上がった。
すると、啓次の太ももに座っていた太一がドスンと床に落とされてしまった。
「いってぇ〜っ!」
「な、何で?何でお前が?何なんだ???一体どうなっているんだよっ!?」
「いてててて……急に立ち上がるなって」
「何だよその格好。お前が何で?あ、秋原は……秋原は何処に言ったんだ?」
そう叫びながら太一の胸元を見ると、短い髪の毛が垂れ下がっているのが目に飛び込んできた。
髪の毛というか、髪の毛が生えている皮、いや、マスクようなものだ。
「……な、何だよそれ……お、お前の胸元に……」
「まったく……反応が遅すぎるよなぁ……」
太一はそういいながら立ち上がると、プリーツスカートのお尻をポンポンと叩いて埃を落とした。
「そ、それ……もしかして……秋原……なのか?」
「そうさ。正確にいうと、秋原の『皮』だよ。この胸もお尻も……アソコだって。すべて秋原の体をコピーした『皮』なのさっ!」
「か、皮?」
「ああ。皮と言うよりは全身タイツ!」
「ぜ、全身タイツ……」
「タイツの中に髪の毛を入れると、その髪の毛の持ち主の皮膚に変化するんだよ」
「う、うそだろ!?」
「目の前にある現実を否定するのか?それなら……」
太一は胸元にぶら下がっている髪の毛が付いたマスクを掴むと、ギュッと被り込んだ。
すると、そのマスクが太一の顔に張り付いて……麻衣の顔になってしまった。
「あ……秋原?」
「そうよ、秋原麻衣よ。でもほんとは秋原麻衣のマスクをつけた俺なんだけどさ」
「……す、すげぇ……」
「待ってろよ。すぐに戻ってくるから」
そう言うと、麻衣の姿をした太一は可愛くウィンクをした後、カバンを持ってボックスを出て行った。
「……あの秋原が太一?まだ信じられない……」
BGMの流れるボックスで呟いた啓次。
何となくおかしいなぁとは思っていたけれど、まさかこんな展開になるとは。
太一だと分かっていたら、あんなにドキドキしなかったのに。
いや、太一だなんで絶対に分からないよな。
そんな事を思っていると、太一が普段どおりの黒い制服姿で戻ってきた。
「へへ。カバンの中に俺の服を入れておいたんだ」
「カバンから黒い生地が見えていたのは、やっぱり制服だったのか」
「ああ。で、これがさっきまで着ていた秋原の全身タイツさ」
紙袋から引っ張りあげた肌色の皮のような全身タイツ。
それは、本当に人間が脱皮したような感じだった。
とてもリアルに出来ていて、胸の突起やアソコの毛までが忠実に再現されている。
「このタイツを着ると、声も変わるし、秋原の……女の快感だって味わえるんだぜ!」
「ほ、ほんとかよ……」
「しかも、秋原が着ていたセーラー服や女子バスケの赤いユニフォームまでここにある」
太一は先ほどまで着ていたセーラー服と、元々紙袋に入れていた女子バスケ部の赤いユニフォームを手にとって見せた。
まだユニフォームは汗で湿った感じが残っている。
「それ……ほんとに秋原が着ていたやつなのか?」
「そうさ。秋原には俺がバイト代をはたいて買ってきた赤いユニフォームを着せて、新しいセーラー服も置いてきた。もちろん普段着ている学校指定の物だから見た目では全然分からないさ」
「お前、それって犯罪じゃないの?いや、クロロホルムで眠らせた時点で犯罪だと思うけど」
「大丈夫だって、俺だと気づかれていないし。それに新しい服に違和感を感じても、別にどうってことないさ。ちゃんと制服の胸には校章をつけて生徒手帳も入れてきたから」
「そ、そうかなぁ。でもなぁ……」
「そんなことよりさ、お前もこの秋原の全身タイツを着てみたいと思わないか?」
「えっ……お、俺が!?」
「お前も秋原麻衣になれるんだぜ。そして、秋原がさっき部活で使っていたこの赤いユニフォームも着れるんだ」
その言葉を聞いて、ゴクンとつばを飲み込んだ啓次。
「ほ、ほんとに……秋原になれるのか?」
「何度も言わせるなよ」
「俺が着ても……いいんだな」
「ああ。それはあと3時間位たったら元の黒いタイツに戻るんだ。それまではお前が着ていてもいいよ。秋原の姿を存分に楽しんで構わないんだぜ!」
「……太一。俺、今からトイレに行って来るっ!」
「ああ。セーラー服の中にこのユニフォームを着て来いよ」
「ああっ!」
うれしそうな声を上げながら、啓次が紙袋に必要なものをつめてボックスを出てゆく。
そして、見事に麻衣に化けた啓次が、ボックス内で太一を誘惑しながら楽しいときを過ごしたのだった――

憧れの女子バスケ部(秋原 麻衣にくびったけ!)……おわり


あとがき

なやかさん、サイトリニューアル&紹介制導入、おめでとうございます。
その記念に何か作品を書きますよということでメールしたところ、次のキーワードを作品に入れていただければ嬉しいなぁと言うお言葉を戴きました。
「清水寺、成りきり、セーラー服、バスガイド」
私、そんなに技量がないのでとりあえず、成り切り、セーラー服で攻めてみました(^^
憑依で書こうと思っていたのですが、書いているうちになぜか皮モノに(笑
皮モノはいいっすよ。
こうやって皮にすることで、誰でもその人に成りすますことが出来るのですから!
それにしても、美味しいところで終わっていますね(苦笑
あとは皆様のご想像と言うことで(^^;
それではなやかさん、そして最後まで読んでくださって皆様、どうもありがとうございました。
Tiraでした。



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