三人換女2003

作:夏目彩香(2003年7月04日初公開)


 

湯気が天井で冷やされてぽたりと落ちてくる。冷たさにふと俺は目を覚ました。温泉のあまりの気持ちよさにいつの間にか眠っていたらしい、ここにやって来てよかったと思う瞬間でもある。なんと言っても男湯には俺しかいない、それもそのはず、ここに泊まっている男性客からして俺一人だったから。

小さな温泉でも源泉100%、誰も知らないようなところを紹介して欲しいと旅行会社に頼むと、「見知らぬ温泉ツアー」なるものを紹介してくれた。これは到着地不明の旅行で、小さくてきれいな温泉宿に行くツアー。定員は男女2組まで総人数10人以内という条件がついている。

女性の方が圧倒的に人気のツアーらしく、今回このツアーに参加したのは、男性客の方は俺一人だけ。女性客の方は大学生3人だった。添乗員の人はいつもは男女1名ずつだったのだが、都合により男性の添乗員が来られなくなって、結果的にここの宿にいる男性客は俺一人となったのだ。添乗員は俺たちをここに連れて来ると、そのままトンボ帰りをして行った。あとは帰りの日になるまでは来ないらしい。

このツアーに使う温泉宿はツアーの入っている日には、一般のお客を泊めることができない契約でいるため、本当にのんびりとした日を過ごせるようになっている。何も無いところで過ごす、2泊3日の旅行が始まっての1日目だった。

そろそろ食事の時間が迫ってきたので、俺は温泉から上がることにした。あまりにも気持ちよくてまだ入っていたいが、お腹が空いては仕方がない。周りにはコンビニだって無いのだ。ポカポカとした体で部屋に用意されていた浴衣に袖を通すと、食事をするために大きな部屋へと移動した。

食事は全員が大きな部屋に集まって一緒に取ることになっていた。テーブルの上には4人の分の料理が並べられている。魚や野菜を中心に使った健康料理のようだ。低カロリー食品がブームと言うこともあって、女性客に人気なわけだ。

俺は3人の女子大生と一緒に食事ができると言う幸運にありつくことができた。旅行という流れの中、彼女たちの俺に対する抵抗感が薄れているのも幸いしている。二人で向かい合って座るようになったのだが、俺の隣に座った子はたまたま俺の好みのタイプだった。

みんな旅館の浴衣に着替えてしまったので、せっかくの私服姿が見られないのは残念だが、みんながみんな湯上がりでシャンプーやソープの香りが漂ってくる。俺の右隣に座ったのは草津清香(くさつさやか)、3人の中では一番の年下で20歳だった。黒いロングストレートヘアーが特徴で、目がくりっとした明るい表情がなんとも可愛らしい。

俺がいると言うことで3人は軽く化粧をしているようだった。俺の目の前に座ったのは黒川彩里(くろかわあやり)、一番年が上で22歳、茶髪のショートヘアーに加え眼鏡を掛けている。清香の前に座っているのが湯布院祐子(ゆふいんゆうこ)、二人の間に挟まれた形の21歳、ブラックブルーに染めた髪は肩の上で止まっている。顔立ちは3人の中で一番美人系だと思った。

そんな3人に囲まれながらの食事時間、若い子と話をするのは楽しくないはずがなく、話ながら食べていると、すぐにお腹がいっぱいになってしまった。俺の目の前には料理が無くなっても、彼女たちの料理はそれぞれ半分以上残っている。それでも彼女たちは量が多いと言ったので、俺が助けてやる。

俺よりも10歳以上若い子を前にしての食事時間が終わると、またそれぞれの時間がはじまる。食事以外はお互いの行動を干渉し合うことはしないのが、このツアーの原則でもある。俺は一人は部屋に戻る前に、宿の外へ出てあたりを散歩することにした。宿のおかみさんから懐中電灯を借りて、浴衣の上に羽織をかけて外へ出た。

辺りはとても静かで、都会では味わうことのできない、ひんやりとしておいしい空気を味わえる。懐中電灯の明かりを消して、天を見上げてみるとそこには満天の星。天の川だってはっきりと肉眼で見えたのだ。都会とは全く違う、そんなものを残している田舎でのんびりするのがこのツアーの最大の特徴だと、今になってよく分かる。

俺は部屋に戻ると、温泉へ行く準備をした。小さなタオルと大きなバスタオルを持って男湯ののれんをくぐる。食事の前までは女湯だったが、今はここが男湯になった。脱衣室で着替えをするとかごの中に羽織と、浴衣、それに下着を入れる。俺が一人で使っているので、どこに入れてもいいが、一応全部一つのかごにまとめて置いた。

浴場へと入っていくと、さっきとは基本的に反対の形をした浴槽が目の前にある。檜で出来た浴槽には楽に10人ほど寝そべることができるくらいだ。俺は軽く体を洗ってから、浴槽の中へゆっくりと足を入れた。さっきまで彼女たちが入っていたのかと思うと、ちょと足が震えているようだ。

足を入れると一気に全身を浴槽の中に入れた。なんとなく、さっきよりもまろやかな水が肌に当たってくるような気がする。どうやらさっきの男湯よりもお湯がぬるいようだった。こっちの浴槽にはどうやら寝ることのできるスペースが用意されていた。俺はお湯の出ているところから一番遠いところを選んで、そこに横になる。首から下はお湯に浸かっている状態になった。

ポツリ、ポツリ。天井から水滴が落ちている。その様子を俺は天井すれすれで見ていた?おかしな状況だったので、下を見てみるとフワフワと宙に浮いているではないか。しかも、浴槽の中には俺がきちんと寝ていた。ちゃんと生きているのか確かめるべく、自分の顔を見に行ってみると、どうやらのぼせてしまって気絶しているようだった。

もしかして、これって幽体離脱?前からインターネットのサイトなどでは小説を読んだり、絵を見ては楽しんでいたりしたことが、実際に起こったなんて信じられなかったが、これはチャンスだと思った。そう、狙いはもちろん3人の女子大生だ。

まずは試しに女湯のある壁をすり抜けてみることにした。壁に向かってそおっと、そおっとぶつかっていくと、見事にすり抜けた。そして、視界には浴槽に浸かっている一人の女性の姿が見える。俺の一番のお気に入りになった清香だった。清香の肌はとてもとても白く驚くほどだった。顔の化粧は全て落とされていたが、まだまだ化粧無しでも十分な端正な顔立ちをしている。

幽体離脱っていったら、確かこうだよな。俺はそう思うと清香の体にゆっくりと染みこんでいった。インクを紙に一滴落とすとそれが広がって行くように、俺の体が清香の中に染みこんでいく感じだ。清香の持つ全身の感覚を持つと、お湯の温かさと同時に、清香の体のポカポカ感が伝わってきた。

俺は清香の体を完全に支配したかを確認しようと、自分の股間に向けて手を動かす。人差し指を中に入れると、軽く動かして見た。

「あっ」

初めて感じる女の感触。そのまま自分の胸に手を移動して、お湯の浮力によって軽くなった胸を上下に動かしてみた。その感触を最高に楽しんでいるのは俺自身。

「さすが二十歳の娘は違うなぁ〜」

周りには誰もいなかったので、脱衣室の方に人がいないのかを確認しながら、独り言を言ってみた。

温泉から上がると、脱衣室に向かい。裸のまま体重計にあがる。針は43kgを指していた。

「最近の子って軽いよなぁ。やっぱ清香もそうなんだ。口ではダイエット、ダイエットなんて言ってるけど必要ないよなぁ」

清香の服が入っているかごから、バスタオルを出して体を拭く。長い髪は洗っていなかったようなので、軽く水分を拭く程度で十分だった。下着を身につけないまま。浴衣に袖を通すと、かごの中に余ったものを手に持って二人が待っている部屋へ行くことにした。

途中、宿のおかみさんに会いましたが、何も気づかれなかった。俺は律儀に清香らしく挨拶をする。

「あっ。おかみさん。いいお湯でしたよ。体の隅々まできれいにすることができました」

「そうかい。そうでしょう。ゆっくり休んではまた入りなさいよ。ここでの楽しみはお風呂くらいしか無いですからね」

「いいえ。何もかもおかみさんのおかげですわ。ホホホ……」

こうやって清香の体のまま二人の待つ部屋に帰ると、二人は待っていたかのようである。

「ねぇねぇねぇ。さやか〜。今、男湯に誰かいる?」

3人の中でお姉さんな彩里が清香に聞いてきた。

「いるけど。どうして?」

「私、ちょっと気になるのよねぇ。あの人が男湯にいたらいいなって」

俺は彩里のこの言葉が気になって。うまく誘導するようにした。

「もしかして、あの人のこと好きになったの?」

清香が彩里に向かって聞いてみる。

「そっか。彩里もか」

ここで祐子が横やりを入れて来た。ここで先導を切るようにして清香が話し出す。

「私たちって、あの人のことが好きになったみたいね。でも、あの人はきっと私のことが気に入った見たいよ」

「どうして?」

彩里と祐子は声を揃えて聞いて来た。

「今日の食事の時、隣に座ったでしょう。彼はどうやらそれを望んでいたみたいよ。私の体を触って来たんだから」

「そんなこと無いでしょ。」

彩里は信じなかった。

「だって、私は彼の行動を見ていたけど、手を清香の方に持っていった事なんて見なかったわよ」

「この話はまたあとにしよう。早くまたお湯に浸かって来て。気持ちいいわよ」

清香が話題を切り返すと、二人はさっそく温泉に向かう準備をはじめる。

「行ってくるからね。清香。留守番頼むわよ」

「抜け駆けは行けないからね。わかった?」

彩里、祐子が続けて清香に言い残しながら女湯へと向かっていった。一人部屋に残された清香はだんだんと眠くなって来たのを感じ、布団の中に入ってゆっくりと休み始めた。

清香を部屋に残し、女湯にやって来た二人。抜け駆けされるのは嫌だったから、男湯の脱衣室に彼の服があるのを確認すると、安心して女湯へと入って行った。着替えを済ませるとまずは彩里が先に浴室へと入っていった。軽く背中を流してから、浴槽にゆっくりと体を浸して行った。

彩里が浴槽に入った時、浴室の戸が開き、祐子がようやく入ってきた。彩里が入ってくる祐子を見ながら言った。

「何ぐずぐずしてたのよ」

「遅れた理由?」

「そうに決まってるじゃない」

祐子はゆっくりと浴槽の中に入りながら言葉を続けた。

「あの男のことを考えていたら、胸がドキドキして。ちょっと落ち着くのを待っていたの」

そんな祐子を見ながら彩里は一言。

「ばっかじゃないの?」

「なんなのよ。彩里だって好きなくせに〜」

「あなた。彼のことどれくらい知ってるって言うのよ〜」

すると祐子は勝ち誇ったかのような表情を彩里に見せた。

「全部よ。彼のことなら何でもわかるわ」

「だから。馬鹿だって言うんだって。彼とは今日会ったばかりで何がわかるって言うの?」

「いいわ。信じてもらえないなら。こうしてあげるから」

すると祐子は自分の手を彩里の胸に当てて来た。

「彩里が信じないからお仕置きをしてるのよ」

彩里は祐子の手を振り払おうとしているが、祐子の力が勝っていて太刀打ち出来なかった。

「今の私はね。彼と一心同体なのよ。彼の考えは私の考えでもあるんだから。彼の代わり私がお仕置きよ」

「だから、なんなのよ。祐子って、もっとおとなしい子だと思っていたのに」

そう言うと突然、祐子の表情が変わり、胸を触ってきた手がだらんとして意識を失ってしまった。

「祐子!祐子!ゆうこ〜!」

彩里の叫び声が効いたのか祐子の意識が戻って来たようだ。

「あれっ?いつの間にか、彩里と浴槽の中にいるの?どうして?」

すると今度は彩里が祐子の肩に手を当てて話して来た。

「祐子がちょっと気絶した見たいだったから、温泉に浸かったら意識が回復するんじゃないかなって。ようやく目を覚ましたのよ」

「そう?なんか怪しいわよ」

すると、彩里は祐子に向かって唇を押し当てて来る。

「祐子。私とレズらない?ここで可愛がってあげるから。あなたが私のこと好きだって、分かってるのよ」

すると、驚きながらも祐子は冷静に話し始めた。

「彩里。どうして?どうして、わかったの?私が彩里のこと好きだったってこと」

「そんなの簡単よ。私があなたの記憶をもらっただけなんだから。清香はあの男が好きなのは本当みたいだし」

今の彩里はまるで何でも知っているようだった。そんな彩里を見ていると祐子は自分から彩里の股間に手を入れはじめた。祐子の行動に応えるかのように彩里は祐子の胸に口をつけ吸ったり、舌をなめ回したりしていたのだ。

「私、彩里のこと好きだったよ。こんな場所だけどやっと私の夢が叶って、ちゃんとした恋ができそう。ありがとう」

「いいえ。祐子の気持ちに気づかなかった私が馬鹿だったのよ。これからはもっと可愛がってあげるからね」

そんなことをしているうちに彩里が、すっかりのぼせて気絶してしまった。祐子がなんとか一人で彩里を部屋まで担いで行って布団の中に、そして、彩里と同じ布団に祐子も一緒に眠った。

次の日。朝風呂から上がって来ると、男湯の前に清香が立っていた。30過ぎのおじさんが女子大生から告白を受けたなんて格好が悪いので、俺の方からつきあって欲しいと言った。告白はもちろん成功、だって清香のことなら何でも知ってる俺なんだから。こうして、朝の食事からは2組のカップルが向かい合って座っている。そんな状況に変わってしまったのだ。




 

本作品の著作権等について

・本作品はフィクションであり、登場人物・団体名等はすべて架空のものです。
・本作品についてのあらゆる著作権は、全て作者の夏目彩香が有するものとします。
・本作品を無断で転載、公開することはご遠慮願いします。

copyright 2011 Ayaka NATSUME.







inserted by FC2 system