3時間目の化学』

 作:菓子鰹

 

 

「ニモルノエイチツートイチモルノオーツーガハンノウシテニモルノエイチツーオーガデキアガリ‥」

教師はチョークを持って、呪文のような言葉を黒板に向かって喋っている。

退屈だ。

眠い‥

頭の中をファンタジーが侵食していく。教師の言葉も理解できなくなる。

 

いつも通りに眠気を覚ますことにした。

ルーズリーフを押さえてた左手を動かす。手を机から手前に落として、ひざの上に置く。

更に左手をももにずらす。更にずらすと手が足の付け根に達する。

 

足を開く。

手のひらでチャックの上から押さえる。ぴったりとズボンは股間にひっつく。

ああ‥

じんじんしてくる‥

今現在、俺の股間に手のひらをじゃまする棒や袋はない。

一ヶ月前、俺の男の印はいきなり消えた。

消えただけではなかった。

茨は茂みに変わって、山は谷に変わった。

俺の股間は女に変わっていた。

ズボンのせいで目では確認できない。

しかし今、チャックは裂け目に沿っている。

指をチャックの上で曲げると、チャックは更に沿い、そこが少し凹んでいることがわかる。

押してみる。

 

足が上に跳ね上がり、手を放す。

消しごむを落として、いすを下げて取り、消しごむを机の上に戻す。いすはひいたままだ。

これなら机の下の金の部分に足をぶつけることもないだろう。

 

指をチャックに合わせる。

やさしく押す。洩れそうな声を歯に力を入れて抑える。チャックはさっきよりも凹んでいる。

気持ちいい。

身体が中からじんじんしてくる。

 

蚊に刺されたよりも、強烈な快感。

手に力を入れて押す。

身体がびくんっと跳ねる。

手で押す。

頭がぼわっとなってくる‥

‥気持ちいい‥‥

熱い‥

 

快感が炸裂しそうになる‥

でもそこから、快感は縮む。

 

‥疼く‥‥

足りない‥

 

ズボンのチャックに手をかけて下に下ろす。

ちっ

音が鳴ってあわてて見るが、誰も気づいてないようだ。

今度は音が鳴らないように、チャックの下に中指を当ててゆっくりと下ろす。

1本入るだけのすきまが開く。指をチャックの穴にねじこむ。

トランクスの上からやわらかいものに指がめりこむ。

「ふあ‥」

声が出てしまった。

周りを見渡すが、みんな死にもの狂いで黒板を写している。

誰も気づかない。

トランクスのすきまから指をつっこむ。

「ふっ‥」

吐息が口から洩れる。

周りを見渡す。

誰も気づいていない。

今、爪の先が肉の谷にめりこんでいる。指が感触を伝える。股間が感覚を暴走させる。

右隣を見る。

隣の女は、相変わらず必死で前を写している。

シャープペンを持った右腕の影で、まさか俺が股間に指をめりこませているなんて、夢にも思わないだろう。

誰も気づかない。

何も気づかない。

授業中に教室の左はじの方で股間に指をめりこましているなんて、誰も思いやしない。

誰も気づかない。

何も気づかない。

熱い‥

指にどろっとした液体が絡みつく。

 

液体が指を包みこむ。

手首を曲げて、指を抜き谷を撫でる。

「ふっ‥」

吐息が口から洩れる。

もう周りを見渡す必要はない。

誰も気づかない。

何も気づかない。

俺だけが快感の中にいる。

 

指を直角に曲げる。

肉の谷が指を包みこみ、身体の奥に滑らかに流す。

「んんんんっ!」

押し寄せる濁流に耐えて、くちびるを噛む。

指に力を入れると、身体は正直にはねる。

少し、動かしてやると。

何が何だかわからなくなる。

気がつくと指が勝手に動き出していた。

快感に流される。

奔流に翻弄される。

倫理も理性もない。

人の装飾を流されて残るのは、獣としての本能。

ああああああああああああ

ああああああああああああ

ああああああああああああ

ただ、感じればいい。

ああ、もう言葉はいらない。

 

 

とてもさっぱりしていた。

後ろに河が流れていた。

対岸は見えなく、畝っていなければ海と間違えてしまいそうだ。

前に門があった。

門に近づく。

中の様子が見える。

そこは真っ白だった。

人がいた。

裸だった。

しばらく観察していたが、誰も何もしない。

1本動かさない。まばたきもしない。

ただ、仰向けでいるだけ。

顔に力は入ってなくて、とても優しい微笑み。

中からは音もしない。

絶対的な静寂。

気がつくと後ろに人が並んでいた。

早く行けと言う。

ここはどこだと訊くと、後ろの男は『涅槃の門』と答えた。

門の中は涅槃とか彼岸とか呼ばれる世界らしい。通常は波羅蜜とかをこなした者が逝けるところだそうだ。

そんなものに興味はないと言うと、後ろの男は眉を下げて残念そうに、河に入れと言った。

もったいないから残れと男は言ったが、俺は河に飛びこんだ。

 

 

 

 

 

 

ああ、だるい‥‥

‥身体が動かない‥‥

‥視界がぼやけている‥‥

 

 

‥あたりが騒がしい‥‥

視界がはっきりしてくる‥

‥隣で、机にいすを持ってって、おじゃましながら弁当を食べてる友達が見える‥‥

 

気がつくと、昼休みになっていた。

 

 

 





toshi9さん、600,000ヒットおめでとうございます。

あれ? 

tは大文字やっけ?

小文字やっけ?

まぁ、どっちでもえいか。

いや、ほんと、まじ、めっちゃ、すっごいことやと思います。

すっごい言うか、ごっつい言うか、凄まじい言うか。

いや、めちゃくちゃ尊敬してます。

はい。

500,000ヒットもお祝いできんで、600,000ヒットにも大したお祝いできんき、持ちあげゆうがとは違いますよ。

確かに、非常用に手元に置いちょったやつですけんど(笑

はい。

確かに、わけわかりません。

関係ないけど何か小生もうれしいです。

 

あ、それとロッテ。

西武撃破おめでとうございます。

いや、完膚なまでの松坂攻略。

えげつない打撃での西口攻略。

それを守りきる投手陣。

ああ、強い‥

4月の勢いが戻ったかのよう‥

いや、4月よりも脂がのっちゅうかも‥

 

600,000という数字を積み上げたtoshi9さんの毎日の積み重ねをうんとすごいと思います。

はい。

うざったくて、無駄に長いお祝いメッセージでした。




(この作品&お祝いメッセージは2005年10月11日に頂いたものです:toshi9)

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