こんにちは。私は見ての通り一般家庭の主婦をしています。
一般家庭・・・・・というと少し語弊があるかもしれませんね。
え?どうしてですって?
それじゃ・・・・・うちの主人、仮にKくんとしましょう。
Kくんとのなれそめをお話ししますね。



私とKくんは、同じ大学の映画サークルで出逢いました。
二人とも、同じ学年で同じ時期に入ったのですぐに仲良くなりました。
お互い好きな映画についても語りました。
馬が合うことが分かってから、彼氏彼女の関係になるのに時間はかかりませんでした。

そんなある日のことでした。
Kくんが、
「ちょっとおもしろい衣装があるんだけど・・・・見てみない?」
と尋ねてきました。

彼は、男性でありながら衣装の手入れやメイクなどが本当に上手で、
撮影のときのメイク全般を担当していました。

私は、そんなKくんを疑うこともなく
「うん。いいよ。」と答えました。
どんな衣装なのか、とても楽しみだったんです。

「それじゃ、明日部室で。色々用意しないといけないからさ。」

そう言って、Kくんは足早に帰って行きました。



その翌日。言われた通り、私は部室でKくんを待ちました。
そのときの私は、白地のセーターに膝丈くらいの黒いスカート、ナチュラルベージュのストッキングに黒いパンプスでした。
新しい衣装ということで、ちょっとメイクとかにも気合いいれてました。
彼を待つため部室にいたのですが、待ち合わせの時間になってもKくんは来ませんでした。

「もう・・・・・・・・遅いなぁ・・・・・」

時間をつぶしていると、部室のドアが開きました。
「あら、西浦さん。」
入ってきたのは、サークル内でも堅物と評判の一年先輩、三宅明菜さんでした。
彼女は、いつも学生にしてはフォーマルな、薄い桃色のジャケットに同色のタイトスカート、黒タイツに赤パンプス
という出で立ちでした。
私は、期待が外れ少し落胆しつつも、三宅さんに尋ねました。
「あの、三宅先輩。Kくん見ませんでした?」
三宅さんは、感情の起伏がもともと薄く、淡々とした口調で返してきました。
「ええ見たわ。彼から伝言。衣装室に来てってさ。」

なんで私に直接言わないの・・・・?私はそう思いながら、三宅さんに会釈して、その場を離れました。

そのとき私は気づかなかったのです。
三宅さんの口元が、かすかに微笑んでいたことに。

衣装室。
今までの、そしてこれからの撮影で使われていくであろう衣装がハンガーにずらりと掛けられています。
「Kく〜ん、いる〜?」
私は、Kくんを探しました。
しかし、どこにもいる気配がありません。
歩いていると、ガタガタっと物音がしました。
「えっ!?」
突然のことに私はびっくりしました。近くを見回しても、誰もいません。
よく聞き耳を立ててみると、それは一番奥の方からでした。
私は棚をよけて、奥まで進みました。

「!?ええええええっ!?」

私は驚きました。
奥にいたのは、下着一枚にされたまま縛られた女性でした。
細身の体に、跡が食い込むほどに巻き付けられていました。
そしてその顔は、さっき私にこの部屋に入るよう伝えた三宅さんでした。
三宅さん!?彼女がどうして?

駆け寄ろうとした私は、後ろから口をふさがれました。
突然のことで、私は何も出来ませんでした。

そして、そのまま、意識をなくしました。
その一瞬、私は目にしたのです。

三宅さん・・・・・三宅さんがニタリと微笑んでいたのを・・・・・・




目が覚めると、そこは、うちのサークルが使っている倉庫でした。
起き上がろうとしましたが、それはできませんでした。

なぜなら、私は下着姿にされ、三宅さんのように縄で
縛られていたのです。
胸の上下、膝、足首。さらには手首も縄で縛られ、
全く身動きが取れませんでした。
しかも、口にも布がまかれ、中に何かを詰められています。
助けを求めることなど、一切出来ませんでした。

ガチャリ・・・・

倉庫のドアが開く音がしました。
助かった、これで助かる・・・・・

しかし、私の期待は、無残に崩れました。

「・・・・・・・!?」

なんと、ドアを開けて私の前に現れたのは・・・・・
・・・・私・・・・そう、私が現れたのです!
しかも、服装までさっき私が着ていた物と同じでした。
呆然とする私を見て、"私"はにやりと微笑みました。

「どう?すごいでしょ?」

その声を、私は聞き逃すはずがありませんでした。
そう、私の口から流れた声は、Kくんのものだったのです!

「うむむううう・・・・」

声を出そうにも、意味不明なうめき声にしかなりません。

「ふふふ・・・・・種明かしをしようか。」

そう言って"私"、いやK君は、自分の頭に手をやると、
私のロングヘアーがするりと外れました。
つるつる坊主姿の私は、不気味でしたが、どこか色っぽくも見えました。

そして、ああ、なんということでしょうか。

"私"が自らの頬をつまむと、その顔の皮膚が一気に剥がれました。
まるで、一昔のスパイ映画みたいです。
その下には、見慣れたKくんの顔がありました。
しかし、首から下が女性の、私そのものというKくんは見ていて不思議でした。
そして、その手にはぷよぷよとしたゴムのマスクみたいなもの。
あれで私の顔そっくりに・・・・・・縛られているにもかかわらず
そっちの方に興味がわいてしまいました。

「ははっ。驚かしてごめんねぇ。でもこれすごいでしょ?」
Kくんはあっけらかんとした雰囲気で私に話しかけてきます。
あまりに非現実なことに、私はただただ呆然としているだけでした。

そうしているうちに、Kくんはさっきまで被っていたマスク?のようなものを被り直しました。
マスクの位置を整え、ウィッグを被ります。
あっという間に私そっくりに戻りました。
正体が男だとはとても思えません。

「ねえ、騒がないって約束できるかしら?」
"私"の問いかけにこくこくと頷く私。
Kくんと分かって、私は安心していたし、これ以上変なことはされないだろうと信じていました。
すると、"私"は口元の布を外してくれました。

「はぁ・・・・はぁ・・・・」

口の詰め物を外された私の口からは唾液がたらりと垂れました。
そのまま、深く深呼吸しました。

「はぁ・・・・・ねえ、ちょっとやりすぎじゃない? 
 三宅先輩は無事なの?」


私が尋ねると"私"は微笑み、
「ええ。ちゃんと解放してるわ。ちょっと気絶させて記憶残らないようにしたけど・・・・」
最後に聞いた言葉に、少しぞっとしましたが、触れない方がよさそうだと思いました。
三宅先輩が無事と聞いて、私は目の前の私の双子に興味を持ちました。
「それにしても、すごいのね。昨日言ってた衣装って・・・」

「ふふふ。どうかしら。これが新しい衣装。体型を強制的に変えるの。
 指先なんかとてもリアルでしょう?」

彼。ううん、もう彼女と言っていいでしょう。
彼女はくるりと回って楽しそうにします。仕草とかも私そのものでした。
そして、私は彼女に尋ねました。

「ねえ、何で私の恰好してるの・・・・?」
その問いかけに、彼女は少し恥ずかしそうにして言います。

「だって・・・・その人になってみたい。って思うくらい、好き、だから・・・・・」






その言葉は、今も記憶に残ってます。
結局、Kくんが私の顔と服をまとってたことを知ったときから、
今私が彼と夫婦になっていることが決まってたのかもしれません。
だって、彼は私になりたいくらい私のことが好きってことですから・・・・・


今でも夫婦仲良くやってます。

・・・・・あら、主人が帰ってきたみたいです。それじゃ。




あなた、おかえ・・・・・・・・




★その後★
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