俺が女子に霊体を差し込んだら、もちろんこうする3

 作:spirit_inserter  挿絵:universe



「…………んっ」

 夕日の差し込む放課後。
 とある空き教室で、色濃く映し出された影が上下に動く。爪先立ちから、もとに戻る。そんな動作を髪を振り乱しながら繰り返し続ける、セーラー服。振り乱れるスカートの影、荒々しい繊細な髪の毛。

「んぅっ、はぁんっ!!」

 額からは汗が滲み出て、机に一生懸命に角を擦り付ける茶髪ショートの少女。活発で、元気な印象を与えるヘアピンが印象的な彼女は、ショーツの割れ目に、くいくいと、執拗に何度も腰を押し付ける。可愛らしい瞳は堪えるようにぎゅぅと閉じられているが、口元はにへらと緩んでいる。
 アソコを守る薄い布が、こすり付けられ、上下するたびに濡れそぼっていく。声を我慢しようとするが、右手は体を支えるために机に当てられ、左手は口ではなくスカートの裾をたくしあげているので、口は抑えられない。
 だめだ、声は我慢しないと――そう思うのに、だめだ。あの後ろのドアから誰か入ってきたら、こんな姿を見られてしまう。たくしあげているおかげで、発情した女の子の部分が丸見えになっているのを、誰かに見られたら……。

「あ、ひうっ! あん、はぁぁっ!!」

 この身体がビクビクンッ、と激しく跳ね、どうやってもいやらしく感じてしまう。女の子の官能的な甘い快感。モノのついていない、平らなアソコから泉のように沸き出てくる。
 これで何人目だろう――確か5人目だ。この空き教室にやってきて、こうして机の固い部分で、ごしごしと秘部を擦り付けるオナニーさせるのは。
 
「やだぁ、すっかり癖になっちゃってぇ……ああっ、あふっ! あ、やぁ、またっ……イっ、あっぁっ、あぁッ!? はあぁぁっ……!!!」

 この娘の頭の中が真っ白になり、女の子の性的エクスタシーが全身を痺れさせるように駆け巡る。
 身体が精神に屈したまま、また他人の身体で絶頂してしまった。男としての精神はまたもピンク色の快楽に焼かれ、一方的に憑依した、健康的な美少女の肉体の坩堝から甘蜜が染み出してくる。
 感じたことのないほどの絶頂の記憶が刻み込まれる。スカートをたくしあげ、誰かがくるかも知れない教室での角オナニーは、まるで白い麻薬のような中毒性だ。
 ばたっ、と机の上に倒れこんだ少女の身体は、えへへぇ……と虚ろに、しかし満足げに涎を流して笑っている。決して異性にも、同性にも見せないほど蕩けていた。

「えへへぇ……れいちゃん、普段からオナニーしてたのかなぁ。いままでで二番目にゾクゾクって感じたなぁ……」

 中身の男が、少女の口を使わせて恍惚に浸った。
 けれど憑依された肉体はべっちょり濡れた秘部を気にもせず起き上がり、今度は両手を制服の中に差し込んだ。そして、上下に腰を動かし始めて、服の中でもぞもぞと手を動かし始める。まだまだ満足しない。物足りない。もっと、もっと……っ!

「あんっ! や、やっぱいいっ……!! 胸とアソコ両方攻めるとっ、あぁっ! さっきより感じるぅぅっ!!」

 ショーツは、既に下着としての機能を果たしていない。守るべき外側ではなく、内側から愛液という攻撃を受けて、その役割をすっかり失ってしまった。擦り付けられる部分は、中身がくっきり見えている。もっとも恥ずかしい方法で肌色の恥丘が晒されていることを、もちろん中身の魂も自覚している。
 服の中に差し込んだ手は、ブラジャーの中の柔らかい部分を、まるで粘土を弄ぶ小学生のようにぐにぐにゅっと揉みほぐす。そのたびにまな板の上の魚のように、びくっと背すじが跳ねるのだ。 女子がエッチに感じている証で、女子の股間が丸見えになっている。こんなに……感じることが他にあるだろうか。
 
 ――再び影が激しく上下に動き始める。
 この部屋を見つけて、角に女の子の部分を擦り付けることにはまってから、数日が経っていた。
 あれ以来、いつものように誰も来ないトイレに隠れてから、毎日標的を変えて背中から気に入った女の子に憑依を行っていた。支配する感覚と、女の子の快楽で、もはや最初に女子トイレに侵入したときのような躊躇いは無い。とっくにそんなラインは乗り越えて、犯罪とも言えピカピカした陶酔感に酔いしれていた。 
 普段は見られない――いや、本人以外は誰も見ることのないであろう――秘密の光景を露にする。そんな行為にはまりにはまって、今やここでオナニーをすることがすっかり癖になった。いまはいっこしたの学年の子に憑依している。茶髪のヘアピンをつけた、どこか野生的で元気な少女――だった。
 だがいまは快楽の奴隷。
 ひたすらに股間を突起に跨らせている。勃起するモノがない代わりに、数倍の快楽が肉体を襲い続けていた。

「いやぁ、ぅんっ。んんんっ! イったばかりだからっ、またすぐイっちゃう、んん……やぁ、胸もイっちゃいそうだ……ぁっ」

 乳房を揉みしだいて、ぼんやりと柔らかい部分全体が暖かくなってから、こりこりっと乳首を弄る。
 これが最近編み出した、新しい女子のオナニーだ。これをやりながら股間を擦り付けると、どんどん高まっていく。同時に絶頂したときの快感は二倍。体力が続く限り絶頂していられる女子の身体が、これをやって始めて悲鳴をあげたのも記憶に新しい。

「ぁっ……んっん、ひっ! れいちゃんでまたイっくうぅぅ!! んぅ、んんん、あぁ〜〜〜ッ!!」

 溜まって、限界を迎えて、絶頂する。
 一段と大きく震えだした制服姿の若い女体。その何よりも大切な秘部から噴出した愛液はショーツに染みこんだものとともに、床にぴちゃっと飛び散らせる。ぴぃんと立った乳首は制服の上から自己主張して、もっと、もっと弄ってくれとばかりに、二つぽつっと浮き上がっていた。

「えへぇ……はぁ。はぁぁ……っ、ふはぁ……れいちゃぁん……」

 すっかり発情した女性器に手をあてがいながら、かくんと力が抜けた。
 じわじわと身体からしびれがひくまで、机に軽い体重を預けてぼうっと笑んでいた。





 俺はあれから、そんな無為で、魅力的な行為を繰り返させ続けていた。
 絶頂させ続けて、とうとう疲れ果てた身体を女子トイレに返してから、もとの身体に戻るためにふわふわと浮きながら帰り道を漂う。この時間になると誰もいないのがいい感じだ。

 だが……。
 ここしばらく、何となく物足りなさを感じていた。
 男の快楽より何倍も、何十倍も強い女子の快感。増えていくオナニーの方法。魅力的な性的エクスタシーの瞬間。しかし、それでも何かが足りない……と、そんな風に思うようになっていた。

 原因には心当たりがあった。
 三人目に取り憑いて自慰をしていた頃から、女の子の秘部が求めるのだ。性感のシャワーを浴び続けたせいで、心の奥深くから芽吹いた欲求。

『なにか、挿れたい……アソコに入れて抜き差ししたい……』

 幽体なので、もちろんその一言は誰にも聞かれることはない。
 もちろん現状には満足している。しかし、それをやらない限り、どんな快楽を感じても何となく引っかかりを感じ続けるだろうとも思っていた。
 女の子のアソコは男のモノを迎え入れるためにある。取り憑いているうちに、だんだんとその本能が目覚めてきたのかもしれない。
 即ち――セックスがしたい。
 奥をコンコンと突いてほしい。前後に掻き回してほしい。肉体を蹂躙して征服してほしい……そんな欲望が燻る。ああ、だめだ。モヤモヤする。もどかしい!

 ……けれども、そんな度胸があるはずもない。
 そりゃ憑依なんて能力を使っているのだから、やろうと思えばできるのかもしれない。けれど、さすがにそこまでやってしまうと、いつかバレてしまうかもしれない。セックスさせて妊娠させてしまえば、大変なことになる。
 欲望が燃え上がる一方で、恐怖心がその一歩を踏み越えるのを押さえ込んでいた。
 やりたいけれど……もどかしい。

『んっ? お? こんな時間に……女子だ』

 自分の身体が近づいてきたあたりで、前から女子が近づいてくることに気づいた。
 薄い髪色が印象的なおっとりとした女の子だ。スカートの丈は他の女子よりも長く、ぼんやり、てくてくと廊下を歩いて近づいてくる。もちろん、俺のことが見えている様子はない。
 近づいて、彼女の歩きに合わせてふわっと飛んで観察する。

『ほぉ……すげー可愛いなぁ。胸もまぁあるし、こんな身体でオナニーしたら気持ちいいんだろうなぁ』

 じろじろと眺めても、全く意に介すことなく、無防備な姿を晒してくれるのが何度見ても不思議なところだ。
 男子がいるとなると女子はどこか警戒した雰囲気を出すものだ。もちろんあからさまではないが、一人でいるときと、男子といるときの差は、こうしてみると明らかだ……ということに最近気づいた。どこを見ているか分からないぼんやりとした表情。すぅと緩んだ脇。歩き方もどこか緩んでいて、滲み出る微かな警戒心というものが全く感じられない。こうして見なければ、ずっと気づけなかっただろうな。
 そんな無防備な背中に、こっそりと忍び寄る。そして手をずぶりと差し込めば彼女の身体の感触が味わえる。女子は、魂までも柔らかい。その柔らかさにつけこんで幽体を重ねてゆく。
 それを感知した彼女は身体を硬直させた。だが、手遅れだ。

「ひぃっ!? は、はぅ……な……にぃっ……」

 びんっと背中が弓反りになり、その曲線の中心には俺の手が指し込められていた。にやりと笑いながら手を、腕を、徐々に差し込んでいく。沼に身体が入り込むように、誰の進入も許したことのない女体に、ずぶぶっと沈む。

『悪いけど今日はまだ物足りないんだ。だからその身体は、俺が使わせてもらうよ〜』

 と言って頭を下げて頭突きをするように背中に宛がうと、吸盤に吸いつかれたようにキュとくっつき、口内に取り込まれるように飲み込まれる。沈む。
 頭部を入れずに、少しづつ感覚を楽しむのもいいものだが、頭を入れると一気に憑依することができることを最近発見した。騒がれる前に憑依するにはこれがちょうどいい。

「はっ……えっ、やぁ……だ、め。はいってくる。やめ、て……ぇ…………うっ、はぁぁっ。よし。あーあー、わたし憑依されちゃいました……よしっ、憑依成功っ!」

 立ち上がってくるっと一回転。発声すれば聞こえるのはおっとりした、柔らかい癒しの声。身体の動きも問題なさそうだ。
 誰もいないことを確認してから、ぎゅっと膝を擦り合わせてみると……ないのを感じる。心臓に手を当てるふりをして、胸に手を当てると、ほよんと柔らかくて心地いい。この動作も、もうすっかり慣れたものだ。
 あれだけ他人の身体でオナニーして疲れきった後だったが、この身体は多少疲労してはいるものの、元気そのものだ。
 モヤモヤと、性欲が沸きあがってくる。

「ううっ、けどあの教室は使えないなぁ。かといって上までいくのも……やったばっかだし危ないよなあ……」

 弄りたい。股間を弄って、何もかもさらけ出したい。
 もはや他人の肉体を使っていることも忘れて、女子の尊厳を踏みにじりたくて仕方がなかった。今すぐにでもこの廊下でショーツの中に手を差し込んで、ぐにぐにと晒しながら秘密の部分を弄りたいくらいだったが、見つかれば当然止められてしまう。それに一時の性欲で、可愛い女の子の人生を潰したいとまで思っていない。
 なら、どうする。

「オナニー……オナニーできるとこ欲しいっ……あれ、ポケットに何か入ってる?」

 口をこぶしで隠すように、きょろきょろと辺りを見回していると、ポケットからチャラッと音が聞こえる。
 何かなとスカートを探ってみると緑色のタグのついた銀鍵だ。そこには『理科準備室』と書かれており――どくんっ。まるで道が示されたような、天啓。ざわめく悪意が脳内をめぐった。
 理科準備室といえば、すぐそこだ。俺はすっかり慣れた動きで、等身の異なる身体を動かしながら、もとの身体のあるトイレを通り過ぎる。そのすぐ傍にある『理科準備室』の前に立つと、鍵を差し込んだ……カチャッと開く。
 ……確か。
 この部屋へは、ここと、理科室と繋がる扉がある。理科室と準備室を繋ぐ扉の鍵も、たしかツマミではなく、ここと同じ両側ともに鍵穴タイプ。
 ということは、だ。





「……ごくっ」

 それは女子の身体にいる間に、絶対に誰にも見つからない場所を見つけてしまったことを意味していた。
 今まで我慢していた……といっても、見つかればほとんど終わりの状況ではあるのだが……それでも、心のどこかで遠慮していたしがらみが、これで取り外される。思う存分、女子の身体を探索できる。この女子の身体を……
 開いた扉に、細く白い手をかけて頬を赤らめた。
 ガラガラと開いて……丁寧に、そぅっと扉を閉じていく。鍵も静かにかけた……これで誰にも見つからなかったはずだ。そしてこれからも、見つからない。
 理科準備室は、隣に理科室も存在する。しかし近づいてガラスの部分を覗いてみるが、向こうの部屋は完全に無人のようで、黒い机はどれも綺麗になった後だった。壁に展示された生物のホルマリン漬けや、動物の骨格標本、ビーカーなんかの器具が見えている。
 他にも何だか分からない薬瓶や10本ほど纏めて台に刺さった試験管。何かの生物の瓶詰め、メスシリンダー、その他諸々。化学実験なんかに使う道具が山のように置かれていて。
 そしてその中で、一つ目に留まるものがあった。
 何気なくそれを手に取った。薬瓶のように危険なものではなく、ただのガラス製の透明な試験管。こういった部屋ならどこにでも転がっているモノが妙に気になって、じいっと見つめてみる。何かが引っかかる。

「あ……もしかして、これ」
 
 丸っぽく、長い構造を見て、また心臓が高鳴った。
 気づいてしまった――何も股間に差し込むのは、男子のモノでなくても構わない。

「こっこれが……この身体の、おれの身体の中に……?」

 試験管にしばらく心を捉われていたが、やがて自分の肉体を見下ろした。
 中くらいの胸に遮られているが、少し屈めばスカートが見える。その内側の感覚、きゅんと小さく期待する下の口に、女子の割れ目にこれを差し込んだら……どれほど気持ちがいいのだろう。アソコの奥を突いたらどうなるんだろう。
 期待に、頬が赤らめられる。股間から触れてもいないのに滲み出てくる。期待しているのだ。
 身体は知らなくても、既に数人の女子の身体で堕落した精神は、ソコに挿入することで新しい世界が開けることを知っている。妊娠の危険もない。すんなりと入りそうだ。この硬くて、奥まで突けそうな長いモノをはやく、挿入したい……この肉体をぐじゅぐじゅにしたい。
 しかしそんな想いとは裏腹に、身体の準備はまだ整ってはいなかった。感覚で、いま挿入することはできないと知っている。
 なら、どうするか。

「こ、ここなら……誰にも見られないよね? 鍵も閉めたし……」

 戻って、ドアが開かないか確認する……廊下側、理科室側、どちらのドアも固く閉ざされている。
 そもそも廊下側からは中の様子が伺えないので、理科室側からは見えない位置の机にドキドキと座った。そして、股を広げて何もない股間を強く感じてみる。

「ふぅ、ふぅ……んっ」

 くにっ、と割れ目を弄ってみると湿り気を帯びていた。円を描くように、二本指でぐにぐにと押していると、期待していた快感が奥から込み上げてくる。
 すでに精神のほうは、他人の肉体のオナニーですっかり出来上がって、ピンク色のYes枕を抱きかかえている。後は、身体がついてくるだけだ。高ぶった精神に引きずられて身体はずっと早い速度で眠っている快楽を引き出していく。そもそも自慰の経験がなさそうにも見える彼女だが、どうも感じやすい体質らしい。
 ショーツの上からしばらく楽しんでいたが、やがて少し手を持ち上げ、肌とゴムの隙間からするっと手を差し込んで、直接触り始める。粘つき、とろとろに溶けはじめた女子の秘部。

「あっあっ。ん、ははぁぁっ、はぁ、はっ……」

 たまらないのは、何度経験しても一緒だ。男では感じ得ない永遠の快楽の流砂に足を踏み入れ、崩れ落ちる地面をどうすることもできず、滑り落ちるように魅惑の世界に囚われる。
 しかし、堕ちる快楽を味わっているうちにどうしても感じてきてしまう。足りない、物足りない。
 こうして秘部を弄って、捏ねていれば、気持ちいい。心地いい。ぴりぴりして頭と女子の表情がトロンと蕩けていく。十分に満足できるような気持ちよさだけれども、俺の魂はそれでも満足できなかった。
 しかし、いまはそれを解消する手段を持っている。この"足りない"気持ちを満たす手段は、すぐ傍にあるのだ。

「んんっ、けどこのままじゃ服が邪魔……脱いじゃう、か?」

 手を止めて、自分がいま何を言ったかを脳内で反芻した。
 はっと、気づく。
 つまりこの理科準備室で制服を脱ぎ、ブラジャーを外し、ショーツも外して、本当に全裸になってしまう……?

『脱げば、もっと気持ちよくなれるんじゃないか?』

 そんな想像をすると、ふいに股間がゾクゾクっと感じて……身体が想像した快楽に、打ち震えた。
 妙に静かな部屋。この状況を作り出したのが自分であるというのに、この安全な場所の中で、思わず誰かが見ていないかと――この邪な考えを覗かれてしまいはしないかと、キョロキョロと探す。もちろん人どころか、音すらも聞こえない。

 ……じっと、自分の身体を見下ろす。
 そういえば、トイレのとき以来、女の子の秘部をじっと見たことはなかった。

「見てみたい。おれの、身体……」

 廊下まで届いてしまいそうなほど、ばくんばくんと鳴り響く鼓動。空気を振るわせる振動は耳に妙に焼きつくほど。優しい少女の表情は自慰のせいだけでなく、緊張と興奮によって赤く染め上げられている。
 手は、ヌラヌラと光った指先が、おそるおそる、指先でちょんとタイを摘んだ。しゅるりと外して、まるで知っているようにボタンを外し始める……きっとこの動作は身体が覚えているのだろう。ほとんど違和感もなく、上の服が外されていく。
 しゅるっ――制服は脱ぎ去られ、ぱさりと机の上に落ちた。上着は、ない。





「……ぶ、ブラジャーだ」

 いつも見ているはずの、自分でつけたはずの白色の花柄の下着。
 しかし、精神ははじめて見る下着。背中のホックが透けることはあっても、誰にも見られることはないそれが、目の前に姿を現す。真上から見下ろしている、ぎらついた男のような自分の視線に晒される。清楚で、美しい美術品のような自分の姿。今まで大切に守られてきた鋼鉄の壁が音を立てて崩れ落ちる。
 続けて、背中に手を伸ばし、ホックをぱちんと外す……ぱさり。
 
「お、お……や、やべえ……」

 今までも、既に三人ほど揉んできた。首元をぐいっと開いて、その中身を見たこともある。実は、ブラジャーだけを外して揉んだことだってある。しかし、直接こんなにはっきり見るのはこれが初めてだった。
 美しい陶器のようなつるりとしているのに、不思議と柔らかい肌色の丘に、ぽつんと立った唇のような桃色。つんと突くと少しくすぐったい。まだ胸は感じていないので性感はなかったけれども、とっくに高ぶっている興奮は、女の子の裸を見たことで爆発しそうだった。

「つ、次は……もちろん……ここ、だよな」

 一人でストリップショーもどきを楽しむ俺が選べるのは、折り目のついたスカートと、縦スジに沿って灰色に濡れたショーツしか残されていない。
 どき、どきと……最初に選んだのは、ショーツだった。立ち上がって、手を差し込んで降ろしていく。
 視覚的には見えないが、股間が頼りなくなっていくのを感じた。すーすーと、涼しくも熱いのは、エッチな水気を帯びているからだろうか。ドロドロの何もかもを溶解させるマグマが、未成熟の胎の内側で燻っているようだ。
 片足をあげて、靴を履いたままショーツを外す。そしてもう片方も……と思ったが、足にひっかけたまま、スカートを外すことにした。

「よい、しょ……やだ、んっ……おれ、学校で、女の子にぜんぶ脱がせて……や、やば。これっ」

 スカートを外して、とうとうこの身体は身を守るものをなくしてしまった。
 残されたのは靴と、ハイソックスくらいのものだ。しかし男の視線から守るための服も、上着も無くなり、性感体は外気に晒されている。もう、この身を守るものは何もなくなってしまった。

「あ、あぁ……すごい……っ」

 部屋では、おっとり可愛らしい女子が恍惚の表情で、机の後ろに両手をつきながら胸を強調し、太ももを開いてトロリと涎を垂らしていた。
 自分の身体を見ては、悶えるように太ももを擦り合わせる。かと思えば太ももをそっと開いて、のっぺりした股を覗きこむ。閉じた割れ目が、見られる快感に反応して、ときどきピンク色の唇を覗かせた。
 そうしているうちに胸も徐々に高ぶり、乳首が勃起するようにぴぃんと立ち上がりつつある。お風呂にはいる前のような状態と変わらない。
 胸ときゅっとへこんだお腹、膨らんだお尻から伸びる柔らかな曲線。そして股の間はへこんでいる。どこを見ても、更衣室にいる女の子にしか見えないが、ここはあくまで理科準備室。お風呂など、脱ぐ理由などどこにもない……自慰にふける目的以外では。

 ああ。女子が、こんなに可愛い身体が、学校で全裸になっている。
 この身体を構成する艶やかな肌は夕日に照らされ、とくにふにっとした太もものあたりの肌色が朱に染まる。机に描かれた黒影は、不思議と憑依した男の姿を形作っていた。
 そんな事実を認識すれば、両頬を抑えて歯車の壊れた興奮を抑えなければならず、その反動で軽くイって、女子の割れ目からぴゅぴゅっと愛液を散らせた。

「うぅ……こ、これ恥ずかし……けど……」

 腕で、自らの身体を大切そうに抱きかかえる。はぁぁ、と運動した後のような大きな吐息を出し、目はトロンッと蕩けている。もしもここに男子がいれば、その10割がこの場で押し倒し、とろとろに準備の整ったソコに男根を挿入して腰を振ったことだろう。
 実際に、俺もその想像をしていた。めちゃくちゃに腰を振って、擦って、最後にはこの肉体に秘められた最奥を、ソレでずっぶりと突いたまま、どくっと膣内射精してほしい――

 はっきり自覚すると、そんな願望が次々に沸きあがってきて、はちきれる。
 熱くて、もどかしくて、我慢できなくなりそうだ。

「ど、どこ、だっけ。は、はやくっ、はやくぅっ」

 裸で試験管を探すさまは、性欲を掻き立てる一方で、ひどく滑稽にも映ることだろう。もともとオナニーを中断して服を脱いでいたのだ。しかも中途半端にイってしまったせいで、もう一刻も早く、丸くて長い"ソレ"を秘部に挿入したい。
 手の感触を頼りに探しているうちに、掴んで、目の前に持ってくる。まだ何もしていないソレは、ぬらぬらといやらしく輝いていた。

「……ごくっ。こ、これをココに宛がって」

 透明な試験管を逆さにして、両手で先端を調整しながら、入り口にくっつける。
 ひんやりとした先端が、燃えるように熱い割れ目の隙間をつんっとつついた。このまま押し進めれば、きっと、じゅるりと飲み込まれていくことだろう。
 綺麗な股間にできた割れ目に、ぴったりと 宛がわれた先端が少しづつ入り込んでいくと、天を向いた。

「悪い。この身体の子、膣内に入れるぞぉ……んやぁ……っ、はいって、くるぅぅ……っ!」

 透明なソレは奥に進む。丸い部分が膣壁を掻き分けて、ぐりゅぅ、ぐりゅぅっ、と押し付けてきた。
 雷が、身を貫く。脳天が貫かれ、快楽の業火に晒されたように声すら出なくなってしまった。
 あ、かぁっ、と奥に進めることを躊躇してしまうほど。精神が、肉体が、ずっと求め続けてきたもの。それがいま、ようやく刺激されてしまう。

「あぁ、かっ、こっこれぇぇ……おれがっ、女子の身体でほしかったやつ……っ」

 まだ三分の一ほどしか差し込んでいないというのに、もう目は桃色に蕩けて、がくがくっと可愛らしい顎を震わせる。
 しかし、それ以上奥に進ませようと思うと、何かにぶつかる感触に押しとどめられてしまう。なんだこれは、とそのまま押し破ると、ぶつりと何かが切れ、鋭い痛みがすぐさま身を縮こまらせた。

「な、なんだっ! い、いてぇっ……!?」

 股間に刺したまま、涙に滲んだ目を閉じて試験管から手を外す。小さく動かすと、傷を突くような痛さを感じてしまう。
 何かやってしまっただろうか……。
 顔を青ざめさせながら、痛みが引くのを待った。や、やばい。いてて……何だったんだろう、うー。

「は、はぁっ……う、やっと痛みが、引いてきた……うう、途中まで気持ちよかったのに……いや、もうちょっとだけやってみるか?」

 女子の身体は本当によくわからない。痛かったり、気持ちよかったり……このまま止めてしまおうかとも思ったが、もうちょっと奥まで突っ込めば、気持ちよさが戻るかもしれない。
 そう思って、かわいらしい涙目をしたのまま、ひとまずもう少しだけチャレンジしてみることにした。ぎゅぅ、と両手で試験管の入り口を握る。
 くちゅ、軽くかき回してみると、んぅ、と声が毀れるくらいのぴりりとした快楽を感じてしまう。これは、またいけるかも。
 まだまだ残りのガラス管は残ってるんだ。奥まで入れないと満足できやしない……そして子宮の奥まで、ガラス管を進めた。

「あぁぁぁ〜……っ、はいって、くるぅぅ……くぅぅっ、やば、入っちゃいけないとこまで……ああぁんっ」

 普通に生活していれば、絶対に侵入されない場所。生まれてから一度も侵入されたことのない場所。
 お腹の奥をかきわけて女子の大事な場所に、自らの手で入り込ませていく。聖域を、初めてをガラス管が汚していく。下を向けば、両手が抑えている試験管はずぼりと割れ目に飲み込まれていた。冷たい感触が肉襞をきゅっきゅと擦ったのを感じている。こののっぺりとした部分が、本当に男のものを飲み込んでしまうんだ――潤んだ瞳で、うっとりと見つめた。

「あぁ、奥っ、つんって……くっ、ふぅぅぅ……っ。うわぁ、やべ、やべえっ! ほんとに女子の奥までいれちまったよ……っ、すげー刺さるなぁっ」

 試験管は結局ほとんど飲み込まれ、五、六センチほどがぴょこっと顔を覗かせている。それは指で掴んで出し入れするには十分な長さだ。
 快感の波も過ぎ去り、ようやく一休みして息を整える。すぅ、はぁと呼吸を整えてから、耳を澄ませる。
 音は聞こえてこない。カァ、と鳴くカラスの声が、夕日の差す閉ざされた部屋に虚しく響いているだけ。そして、口から毀れる可愛らしい、はぁはぁと、白い吐息。一人ぼっちで、裸で試験管を挿入させた可憐な少女。頬を赤らめながら、中身の俺がゆっくりと、できるだけいやらしく、かき回すように出し入れを始めた。

「んぁぁ、あっ。抜けるっ、ヒダ、擦れる……ぉっ、ああっ、こえ、もれっ……んひぃ!」

 自分の身体をじぃっと見つめながら、白い吐息をはぁ、はぁっと何度も吐き出す。欲望があふれている。
 乳首もクリトリスもぴぃんっと自己主張していたが、いま彼女と俺を占めている感情は、もっと動かして。奥を突いて。壁を擦って、ぬちゃぬちゃと掻き回して感じさせて――それだけ。何も考えられず、ばかになる。

「あっ、あひっ! はん、ひぁっ、やば、こっこれ……はぁぁんっ!」

 やばい。そんな言葉さえ、膣にぐいっと押し込むだけできれいさっぱり押し流される。波が押し寄せては引いていくのではない。波が一方的に、理性という防波堤を突き抜けて、愛液の飛沫を天高く吹き上げる。
 口の中に放り込んだチョコレートのようにあっけなく、子宮が溶ける。膣がぐにぐにと犬のように甘えて、もっとぉ、と言わんばかりに絡み付いてくる。それを振り払うように抜き差しすると、他のどんな刺激よりも、ばかにさせられる。
 太ももはきゅぅと閉じようとして、そのたびに膣が刺激されて、愛液を散らせるとともに逆にばっと開かれてしまう。廊下に聞こえないように、と口元をきゅっと結んでいるのに、華奢な手はしっかりと秘部を抑えるように、じゅぶじゅぶっと割れ目に差し入れを繰り返す。
 滲んだ汗が、きらきらと全裸の美術品のような身体を紅色の光で輝かせた。

「やっ! あっあっ……はうんっ!! ふっひっ、ひぃっ、はぁぅぅっ!!」

 ああ、やばい。これやばいっ! だめだ、これは戻れなくなる。こんなの知ったら、一生女子の身体でしかいられないっ。
 息をすることすらもどかしい。性感帯も麻痺しはじめたのか、触れてもいないのに、身体の揺れだけで、指で捏ね繰り回されるかのようにびくんっと刺激を伝えてくる。
 不意打ちの快楽に、猫のような甘い交尾の声が溢れだす。
 ようやくいま、人間が、女が、生命が生まれるために作り上げたメカニズムを、神秘をつついている。この手で、同族を増やすための擬似的な行為。所詮は自慰の延長線にしか過ぎないが、それでも、男である俺には強すぎる刺激の爆発。年頃の少女の裸が、こんな辺鄙ないけない場所で、欲望に溺れることを覚えてしまっている。ピンと立った乳首もたまに弄って、ぐにぐにと揉み回すと肉体の全てを支配しているとより強く自覚できた。

「ひぃっ、あっ。びくって、からだがっ、じょしの、からだがぁぁっ、アっ、とろけ……っ、ひぁぁぁ!!」
 
 だめだ、脳神経が焼けていく。電気信号が弾けて、この少女の脳細胞が爆発して燃えていく……ぅ。
 綺麗としか形容できない、まるで作り上げられた美術品のような肉体を意のままに操って、こんな風に汚す行為。ああ、もう俺は元には戻れない……気持ちいい。すごく、気持ちいい。もっと、もっと奥に押し付けてっ、刺激に変化をつけて、子宮にガラスが入るくらい……っ。





 じゅぶじゅぶっ! ぐっ、ぐりっ!! こりっ、ぐりゅぅっ!!
 とうの昔に、我慢することなんて止めている。最初から他人の身体なのだから、好き放題できるんだ。もっと、もっと女子の快楽がほしい。エッチになりたい。気持ちよくなりたいんだ。だから、もっと奥に……突っ込んでやるっ!! くぅぅっ!
 ずぼずぼと差し込むさまは、全く遠慮がない。机だけでなく、床にまで愛液が滴り、水溜りがゆっくりとベージュの床を染めるように広がっていく。ゆっくり、ゆっくりと注がれる液体を吸い込みながら。 

「あんっっ! あ、あひっ! いっ、いいっ! 女子の子宮の奥でするのっ……気持ちいぃぃっ!!」

 放課後の狭い部屋に、若い少女が快楽に咽び喘ぐ、甘い声色が木霊する。
 学び舎は、時に淫靡な世界に変わる。年頃の少年少女の欲求を、神聖な校舎という建前で押さえつけることなんて最初からできはしないのだ。そう。たまたま、この日は露出好きな少女が、全裸で試験管オナニーをしただけに過ぎない。その中身が男であったとしても、誰も気づかない。誰にも気づかれずに、今日も少年は自慰にふける。
 たったいま初めて覚えてしまった、女子の感じるセックスの快楽。最高で、男の魂がいずれ望み、求めるであろう本物のセックスへの階段を、一段一段、しっかりと踏みしめていく。気づけば終着点はすぐそこに見えている。

「やめ、やめっ。あ……そっ、それ以上入れたらぁ、やっ!」

 そして俺は少女の最後の防壁にたどり着いた。
 最後の一線という名の、周りに守るものは何もない荒野に作られた、人間として踏み越えてはいけないライン。鋼鉄で守られ、決して誰にも破られないはずの城壁は、いまや砂上の楼閣。
 しかし、かろうじで形だけは保っていた。だが最後のたった一突きで、彼女の生まれてから守ってきた一線は、俺の理性と一緒に滅びるだろう。
 そうなればあとは、転がり落ちるだけだ。子孫を残すという遺伝子に操られて、ただただ快楽を貪るだけの日々。美しい肉体を刺激して、いつまでも、永遠に絶頂し続けるお人形に成り果てる。

 ――それがうれしくて、たまらなくて。
 俺は思い切り……奥にぐいっと指し込んで、はじけた。ヒューズを飛ばし、境界線の紐は引きちぎられた。

「だめ、だっめ……ぇえええぇぇっ!!!」

 爆発、刺激が駆け巡り、世界の全てが塗り替えられるような絶頂。何もかも価値観が塗り替えられるのを感じながら、少女の中の男は、禁断の味を知ってしまった。
 てらてらと輝く肢体は電気が流れているように跳ね上がり、びくん、びくんっと揺れて柔らかい胸がぴいんと強調されていた。試験管の刺さった秘部からはシャワーのように溢れ出し、肌色の股間、鼠径部と黒い机をぴちゃぴちゃにする。そして自分の股間を見ながらいやらしく蕩けていた表情は、まるで魂がどこかに飛んでいったように、我を失っている。
 今までのどんな絶頂よりも、刺激的だ。もう二度とこの日の経験を忘れることはないし、忘れることもできないだろう。
 開放的な下半身の全てが爆発に包まれ、子宮がとうとう収縮をはじめる。男根が刺さっていれば、きっと心地よく潰すように、玉袋に収められていた精子を搾り取られていただろう。動かしていないガラス管に、無数の襞がこりゅこりゅと擦りつけ、ぴんぴんっと弾かれ、そこから生み出されたのは、無限の女の快感。

「あっあんっ、はぁぁぁっ!! あ、あっ、は……っ、やっ、や……は、はぁっ、は……っ、はぁーっ」

 これで、終わりだ。
 この子も、俺も……これからおれが憑依する、すべての女子も、みんな。

 たぶん、愛液といっしょに、いくつか頭のねじがどこかにとんでいったと思う。
 刺激はいつもの数倍長い時間続いたけれど、徐々に波は引いていった。いつかは引いていく水だが、彼女の肉体に大きな爪あとを残していった。
 心の奥に封じ込めていた、鎖で何重にも縛り、存在しないものとして扱っていた快楽という名の魔獣。それを男によって解き放たれ、もう二度と縛り付けておくことは叶わないだろう。
 外に放たれてしまったあとは、それの言いなりになり、奴隷のように働かされる。子供を、赤ちゃんを子宮を使って作る運命は、DNAに刻み込まれたメスとしての使命なのだから。

「はーっ、はーっ……はーっ、はっ、ふぁぁぁ……」

 うれしくて、幸せで、ふわふわと空に浮かんでいるようだ。
 本当は、怪物を解き放つことと引き換えに得られるはずだった、永遠に忘れられない禁断の聖杯の味を俺だけが味わった。彼女は、きっと二度と味わえない。夢幻の快楽を求める奴隷に成り下がる人生のみが待っているのだろう。
 ああ、そのときは、俺が迎え入れよう。このエッチな身体に今度は俺の男根を挿入してやるんだ。
 こんな股間に試験管を刺したまま情けない姿を晒す少女。そんな風にした責任を果たすのは、俺しかいないんだ。

「……えへぇぇ……この子さいこぉ……もっと、もっと試験管オナニーするよぉ……あっ、ああああぁっ!! きっきたぁぁぁ!」

 一度味わった禁断の聖杯だが、まだそれをぐいっと呷った。
 果てには、中身の雫を舐めとるかのように、秘部に刺さった試験管を前後にずこずこと動かし始めた。

 理科準備室で、舌を出しながら喘ぐ少女の声は、いつまでも鳴り止むことのない。
 少女の肉体とともに、すっかり堕ちてしまった男の魂。きっとこれからも、永遠に女子の周囲をさまよい、その穢れのない肉体に侵入して乗っ取り、ともにいけない快楽の世界に堕落させていくのだろう。 

「あっあぁぁ! いいっ、女子の身体っ、いぃぃっ!! もっとぉ、奥までっ、あぁ、まっまた、イくっ、イくぅぅっぅっ!!」

 そして、俺は絶頂し続けた。女の快楽の果てにい続けるために。次は子宮に男の精液を注いでもらうために。
 快楽の奴隷として、永久に動かされ続けるために。

 今日も、明日も、憑依する。








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